「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人のみ」
2012年12月14日、アメリカ・コネチカット州のサンディフック小学校に男が侵入して銃を乱射し、児童20人を含む26人が死亡した。オバマ大統領は再発防止と銃規制に言及したが、これに対してNRA(全米ライフル協会)幹部が出した声明が上記だ。
「銃を持っていれば助かったのに」
2015年6月17日、サウスカロライナ州の教会で銃が乱射され、男女9人が射殺された。これを受けてNRAの別の幹部はネットに上のように書き込んだ。
こうした声明には大きな非難が寄せられたが、アメリカの銃に対する基本的な考え方はこれらの声明によく表れている。今回は日本人には少々理解しがたいアメリカの銃規制について考えてみたい。
銃社会アメリカの現状
銃犯罪の統計を行っている “Gun Violence Achieve” によると、アメリカでは2015年に銃に関する事件が52,646件起き、13,347人の犠牲者と26,939人の負傷者を出した(数字は1月9日確定時点)。ここには11歳以下の犠牲者・負傷者692人、12~17歳2,688人が含まれている。なお、テロによる犠牲者は2001~2013年の累計でも3,500人に満たない。
不特定多数に向けて銃を放つ銃乱射事件は同年に330件起きており、367人の犠牲者と1,317人の負傷者を出している。10日のうち9日はアメリカのどこかで銃乱射事件が起きたことになる。

銃の数について、UNODC(国際連合薬物犯罪事務所)によるとアメリカの一般国民が保有している銃は… 続きを読む