かつてない多数の移民・難民が押し寄せて「難民危機」が叫ばれているヨーロッパ。世界的な協力が求められており、日本も安倍首相が9月30日の国連総会でシリア・イラク周辺の難民に対する支援金として約970億円、中東・アフリカ安定化のための支援金として約900億円の拠出を表明した。
そもそも難民と移民の違いは何か? どれほどの難民が押し寄せているのか? 難民問題の要点を解説する。

難民とは何か?
そもそも難民とは何か、1951年に採択された難民条約(難民の地位に関する条約)の定義を見てみよう。
人種・宗教・国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者(難民条約第1条1項より)
簡単にいえば「迫害を受けて国外に避難した者」ということになりそうだ。そして難民条約はこうした難民の追放・送還を禁じ、自国民と同等の権利を認めて保護することを義務づけている。
締約国は、難民をいかなる方法によっても人種・宗教・国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見のためにその生命または自由が脅威にさらされる恐れのある領域の国境へ追放し、または送還してはならない(難民条約第33条より)
そして世界各地で難民支援活動を行っているUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、難民に加えて以下の2者についても同等の支援が必要であるとしている。
庇護申請者:難民としての地位と保護を求める者
国内避難民:国内で難民と同様の境遇にある者
なお、迫害などの事実が存在せず、生活の向上を求めて国境を越える人々は「移民」と呼ばれている。近年、移民と難民の区別は難しくなっており、難民の認定は各国に任されている。

どれだけの難民がいるのか?
UNHCRは毎年、難民の実態を報告する “Global Trends” を発表しているが、2014年版では以下のように報告している。… 続きを読む