人材採用は、企業経営の根幹のひとつです。優秀な人材を採れるかどうかが、組織の未来を大きく左右します。
採用面接では相手の本音を引き出し、意欲を見極め、実力を測ることが欠かせません。そのためには「直球の質問や負荷の高い課題を与えることも、ときには必要」と、プルデンシャル生命保険で支社長などを歴任した八木昌実氏は指摘します。
優秀な人材を引き寄せると同時に、相手の真意を「見破る」コツを、数多くのトップ営業マンの採用に携わった八木氏が語ります。
採用面接で志望理由を聞いてはいけない
採用面接のとき、最も大事なのは「相手の人となりを見極められるかどうか」。そのためには、冒頭でやってはいけないことが2つあります。
ひとつは、「志望理由は?」といった面接にありがちな質問を投げかけること。当然、応募者は答えを用意してきているはず。準備してきたことを暗唱されても、その人の本心や実力を見抜くことはできません。
2つめは、相手に考えさせてしまうこと。「理念は?」「心情は?」といった答えにくい質問をすると、一気に場の空気が硬くなります。誰しも、採用面接では多少なりとも緊張するもの。そんな場面で難しい質問を投げかければ、応募者は固くなるばかりです。
面接官がまず心がけるべきなのは、本音を引き出しやすい場を作ることです。応募者が着席したらまず、話しやすい話題を提示して、相手との距離を縮めることから始めます。いわばアイスブレイクの時間。これなしには、スムーズに面接が進むことはありません。
「休みの日はどんなことをして過ごしますか」
「学生時代に打ち込んでいたことはありますか」
休日のことや趣味について聞き、相手が「正解」を意識せずに話せる環境を作ります。そして、会話の中から自分と共通する部分を見つけ、さらに話を広げていきます。
「ご出身は大阪ですか。私と同じですね」
「ゴルフがご趣味なのですね。私も先週末にコースを回ってきました」
共通の話題を通じて、親近感や仲間意識を醸成できたら成功です。これで準備段階は終了。相手の意欲や適性を知るための質問へと移っていきます。
疑問に思ったら、あえて相手を試してみる
少々言葉が悪いですが、多くの場合、応募者は可もなく不可もないボーダーライン上にいます。どこに合格線を引くか、そして合格ゾーンの上部にいる人を採用できるかどうかが、面接の成否の分かれ目です。
業種や職種、企業風土などによって合格ラインの見極め方は異なりますが、プルデンシャル生命保険では、営業担当者を採用するときに重視していたポイントが2つありました。それは、… 続きを読む