『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』というビジネス書が人気となっています。
本書のタイトルである「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」とは、「データや事実に基づき、世界を読み解く習慣」のことを指します。つまり本書は、思い込みや先入観ではなく、事実で物事を判断することの重要性を説いた本となります。
これだけだと「何を当たり前のことを」と思う人もいるかもしれません。しかし本書では、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど、先入観にとらわれてしまいがちであると指摘しています。実際、14カ国1万2000人に対して行われた、現在の世界に関するクイズ「現在の世界に関する基礎的な3択問題」の正答率は、平均で18.3%だったといいます。これは、チンパンジーが完全にランダム(あてずっぽう)で答えた場合の正答率である33.3%を、大きく下回る数値となります。
なぜ、人間は間違った思い込みにとらわれてしまうのでしょうか。そして、事実で物事を判断するには、どうすれば良いのでしょうか。本書から読み解きます。
予防接種すら受けられない子供は、世界でどれだけいるか?
まずは、冒頭で触れた「現在の世界に関する基礎的な3択問題」について、本書で取り上げられている例をいくつか紹介しましょう(正解は本記事の最後)。
【1】現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するか?
A.20% B.40% C.60%
【2】自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年でどう変化したか?
A.2倍以上になった B.あまり変わっていない C.半分以下になった
【3】世界の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子どもはどのくらいいるか?
A.20% B.50% C.80%
ロスリング氏はこれらのクイズを、数十年に渡り世界の様々な分野で活躍する人たちに投げかけてきました。その結果、教師や科学者、エリートビジネスマン、政界のトップなど高学歴で優秀とされる人たちが、皆同じように間違った回答を選ぶことに気づいたといいます。
たとえばクイズの1番目「低所得国で女子が初等教育を修了する割合」では、… 続きを読む