コールセンターの要員(エージェント)数の算出は、「ベース・エージェント数」(実働人数)と「トータル・エージェント数」(要在籍人数)の2段階で考える必要があります。
ベース・エージェント数については、前回の記事で詳しく解説しました。今回は、トータル・エージェント数の算出と、そのために必要な「シュリンケージ」の考え方や目標設定について解説します。
実働人数だけではコールセンターは回らない
コールセンターのオペレーションは、ベース・エージェント数(実働人数)が揃っているだけでは回りません。
なぜなら、エージェントは、トレーニングやミーティングなど、“本業”である顧客オペレーション以外のことに、かなりの時間を費やしているからです。
よって、その時間分の人数を加味して考えないと、エージェントの人数が足りず、正常なセンター運営ができないのです。
正常なセンター運営に欠かせない「シュリンケージ」とは
図1に、コールセンターの運営に必要なエージェントの時間を表しました。
図1:コールセンターの運営に必要な時間

エージェントが、“本業”である顧客オペレーションに従事する時間のことを、「ベース時間」と呼びます。
ベース時間の内訳は、電話、メール、ライブチャットなど、業務の形態によって多少の違いはありますが(例えばセットアップ時間は、アウトバウンド[発信]の電話にしか発生しません)、いずれの時間も、今、この瞬間に発生する顧客とのコンタクトのために必要な、オペレーションの“基本”(ベース)の時間です。
だから「ベース時間」と呼び、そのために必要なエージェントの人数なので「ベース・エージェント数」と言います。
この、ベース時間以外に費やす時間が「シュリンケージ」で、エージェントが出勤している時間のうち、ベース時間以外の「非電話オペレーション時間」と、出勤していない時間(欠勤時間)の二つからなります。
出勤している時間におけるシュリンケージ(非電話オペレーション時間)には、休憩・休息、ミーティング、トレーニング、事務処理、その他雑務(システムダウンタイム、プロジェクト、他部署のヘルプなど)があります。その他雑務のうち、センターによっては恒常的に発生しているものがあれば、それらも独立したシュリンケージ要素とします。
出勤していない時間(欠勤時間)におけるシュリンケージには、有給休暇、遅刻・早退、無休欠勤などがあります。これらは、勤怠管理上の一般的な区分ですが、コールセンターがシュリンケージの視点で考えるときは、
それらが事前に承認済(スケジュール済)であるか、そうでないかの二つに区分する場合があります。
このように見ると、エージェントは、四六時中、顧客オペレーションばかりをしているわけではなく、実は、それ以外のことにかなりの時間を費やしていることがわかります。
だからこそ、その時間を費やすのに必要な人数を含めて考える必要があるのです。
シュリンケージは“計画”するもの
自社センターのシュリンケージを特定したら、次にその要素ごとに目標値を設定します。
目標値を設定するためには、まず、過去の実績と現状を知らなければなりません。ところが残念なことに、… 続きを読む