本連載では、「本物」のコールセンター運営法として、まず、コールセンターのすべての活動の起点である「ワークフォース・マネジメント」の知識と実践法を5つのステップに従って解説しています。
今回は、その3番目のステップである「コールセンターの要員数を算出する」ために最も重要な要素である「サービスレベル」について解説します。
一般的なオフィスワークと比べた、コールセンターの要員数の特徴とは
サービスレベルの解説の前に、「コールセンターの要員数」の特徴について確認しておきましょう。
それは、業務量(ワークロード)が同じでも、コールセンターのインバウンドコール(受電業務)の方が、一般事務系オフィスワーク(総務や人事など、コールセンターのように社員が職場に常駐している仕事)よりも、必ず必要人数が多くなるということです。
例えば図1のように、ワークロード時間が同じ50時間でも、それを1時間で処理するのに必要な人数は、一般事務系オフィスワークの場合は50人で済むところ、コールセンターの場合は50人を超得る人数が必要です。
図1:ワークロードと要員数

というのは、前者の場合は、50時間分の仕事を50人が一斉に始められ、1件処理したら、すぐに次を処理できるというように、間断のない連続作業が可能です。
一方、コールセンターの場合は、50人全員が常にフル稼働できません。仕事(インバウンドコール)が不規則に発生するため、それを待機している時間が生じます。そのため、一般事務系オフィスワークのように連続作業をすることができず、待機時間の分だけ時間が加算されていきます。
つまり、電話がランダム(不規則)に入ってくるというコールセンターの特性が、一般事務系オフィスワークよりも多くの要員数を必要とし、それを算出するために、ワークフォースマネジメントの専門ノウハウが必要になるというわけです。
コールセンターの専門用語「サービスレベル」とは?
コールセンターの要員数を算出するには、まず、予測した業務量をどう処理するか、サービスと効率性の観点から、その度合いを設定します。
サービスの観点から設定するのが「サービスレベル」で、効率性の観点からは「平均処理時間」を設定します(平均処理時間については、次回説明します)。
「サービスレベル」という言葉は、IT系の業務で使われる「サービスレベル・アグリーメント」に代表されるように、多くのビジネス領域で使用されていますが、それらはすべて一般名詞としての使い方です。
一方、コールセンターで使う「サービスレベル」とは、独自の意味を持つ、コールセンターの専門用語です。その定義は次のように表します。… 続きを読む