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単なる勤務表ではない!コールセンターの戦略的スケジューリング・マネジメント
2019.11.29

AI時代を生き抜く「本物」のコールセンター運営法第12回

単なる勤務表ではない!コールセンターの戦略的スケジューリング・マネジメント

著者 熊澤 伸宏

 コールセンターにおけるエージェントの勤務スケジュールの策定は、一般的な職場における、単なる勤務予定表の作成とは大きく異なります。

 本連載では前回までに、コールセンターの業務量を予測し、それに見合った最適なエージェント数の算出法を解説してきましたが、どんなに精緻な計算をおこなっても、実際に、必要なエージェント数を計画通りに配置できなければ意味がありません。
わずか1人の違いでも、顧客サービスやコストに大きな差が生じてしまうからです(連載第1回で説明しています)。

 しかし、1日の中で不規則に変動する業務量に必要なエージェント数を、計算通りに完ぺきに配置するのは不可能であり、どうしても多少の不足や余剰が生じてしまいます。

 この不足や余剰をできるだけ最小化して効率的な人員配置をおこない、その結果、設定したサービスレベルの目標を達成することが求められます。

 今回は、そのために必要な考え方や方法論について解説します。

 

エージェントのスケジューリングに戦略性が必要なわけ

 コールセンターには、さまざまな「ステークホルダー」(利害関係者)が関わっています。
その代表格が、「顧客」「企業」「エージェント」であり、彼らはコールセンターに対して三者三様の要求をしてきます。

「顧客」は、手厚いサービスと質の高い顧客経験を望みます。具体的には、電話が必ずつながる、すぐにつながる、いつでもつながる、1回のコンタクトで質の高い回答が迅速に得られるといったことです。

 これらの要求に応えるためには、スケジューリングの視点から、コールセンターは「訓練された質の高いエージェントを、いつでも十分な人数配置する」ことが必要となります。

「企業」は、利益の最大化のために、リソースの効率的な利用によるコストの最小化を求めます。言い換えれば、コールセンターのコストの70%を占めるエージェントの人数を必要最小限に留めよということです。

「エージェント」は、働きやすさと働きがいを求めます。

 ここ数年来、エージェントのコールセンターでの勤務を促進する要因として、「スケジュール」「報酬」「休日休暇」「トレーニング」が上位を占めることが明らかになっています。これらが自分の希望通りに、あるいは手厚く提供されるか否かで、採用、定着、離職、勤怠に強く影響するということです。

 このように、ステークホルダーの要求は多様であると同時に、相反するものも多くあり、それがスケジューリングの難しいところです。

 また、その要求やニーズは、企業やコールセンターによって異なります。

 単にエージェント数は少ない方が良い、サービス品質の低下はあり得ないというだけでなく、企業やコールセンターの、その時々の方針や事情によっては、エージェントの増員やサービスレベル目標を下げるなど、逆の施策を選択することもあるということです。

 そうしたステークホルダーの要求やニーズのバランスを上手く取って、いかに最大限の成果を得るかといったところに、戦略的思考が求められるのです。

 

スケジューリングの方針を明確にする

 スケジュールの策定にあたっては、まずは、明確な方針を示すことが必須です。

 とはいえ、ステークホルダーの相反する要求やニーズのバランスを上手くとるのは、決して簡単なことではありません。したがって、現実的には、調整というよりも「優先順位」を明確にして、社内のステークホルダーの合意を得ることになります。

 それとともに必ず押さえておくべきは、… 続きを読む… 続きを読む

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熊澤 伸宏

熊澤 伸宏

コールセンターの教科書プロジェクト https://cc-kyokasho.jp/ 主宰/ひるぎワークス 代表

アメリカン・エキスプレスをはじめとして約30年にわたり計8社15のコールセンターの立ち上げ・再構築・運営に従事。グラクソ・スミスクラインでは国内屈指の高品質なコールセンターとして高い評価を集め、各種の表彰制度で数々の受賞を果たす。コールセンター運営に関する知識、経験、業績のいずれも他に抜きんでた業界の第一人者。著書に『コールセンター・マネジメントの教科書』https://cc-kyokasho.jp/2636031821.html (リックテレコム、2018年)

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