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顧客コミュニケーションの新たな主役「チャット」の要員数の算出法とは?
2019.10.03

AI時代を生き抜く「本物」のコールセンター運営法第10回

顧客コミュニケーションの新たな主役「チャット」の要員数の算出法とは?

著者 熊澤 伸宏

 ECなどWeb起点の顧客コミュニケーションの進展にともない、電話からチャット(注)へのシフトが加速しています。ボリューム的には、まだまだ電話を凌駕するほどではありませんが、近い将来には電話と並ぶメインのチャネルとして、欠かせない存在になることは間違いありません。

 ただし、現状ではその運営手法やノウハウが確立されておらず、大半が、自己流のアバウトな運営に留まっています。その最たるものが、要員数の算出を始めとするワークフォース・プランニングの分野です。

 なぜなら、チャットをメインに活用するのが、ECやWebのサポートを担うWeb担当者(コールセンターやカスタマーサービス畑でない、いわゆる“Web屋さん”)であること、また、スタートアップなど小規模のビジネスがほとんどのためボリュームが少なく、専門知識やノウハウがなくても“済んでしまう”からなのです。

 しかし、いつまでもその状況に甘んじているわけにはいきません。

 2018年に実施された米国のベンチマーク調査では、顧客のチャットの21%に、企業が応答していないという現実が明らかにされました。残念なことに、日本でも、チャットが一向につながらない某有名企業の大型センターの存在が知られています。

 そんなことにならないよう、今のうちからチャット運営の起点である要員数の算出の方法論を確立させて、態勢を整えておく必要があります。

注:本稿でいうチャットとは、正確には「ライブチャット」のことです。欧米では、名前は似ていても、性格の異なるまったく別種のチャネルである「チャットボット」と区別するために、ライブチャット(またはWebチャット)という呼び方が一般化されています。日本では、本質を理解しないまま両者を同類のチャネルとして扱い、ライブチャットのことを“有人チャット”などと表記する向きが多く見られますが、混乱を助長するそのような表現は避けるべきでしょう。

 

まずはチャットのコンタクト数を予測する

 最適な要員数の算出のためには、まずは、その元となるチャットのコンタクト数を正確に予測することが必要です。

 これについては、チャット独自の方法論があるわけではなく、電話のコール数の場合と同様に、ヒストリカルデータ(過去の実績)やビジネスドライバー(将来のコンタクト数に影響を与える何らかの要因)の情報を利用して、回帰分析や時系列分析などの統計手法により予測することができます。

 詳しくは、本連載の第3回および第4回の記事で解説しています。

 なお、ビジネスドライバーの情報として、Webサイトのビジター数等のデータから、チャットの発生数や発生割合等を分析することができますので、WebマスターやWebの分析担当者のサポートを仰ぐとよいでしょう。

 

チャットは「サービスレベル・コンタクト」

 前回(連載第9回)の記事で、要員数を算出するコンタクトのタイプを、「サービスレベル・コンタクト」と「レスポンスタイム・コンタクト」のいずれかに分類する必要があることを説明しました。

 サービスレベル・コンタクトは、ランダムに発生した顧客からのコンタクトを、エージェントが即時処理すること、レスポンスタイム・コンタクトは、顧客からのコンタクトを一定の時間まで溜め、順番に処理していく、という違いがあります。それによって、要員数の計算方法が異なってくるからです。

 チャットについては、テキストで会話をするという“見かけ”から、メールと同類と考え、レスポンスタイム・コンタクトだと誤解している人が多くいますが、そうではありません。

 チャットは、議論の余地なく、サービスレベル・コンタクトです。

 なぜならチャットは、… 続きを読む… 続きを読む

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熊澤 伸宏

熊澤 伸宏

コールセンターの教科書プロジェクト https://cc-kyokasho.jp/ 主宰/ひるぎワークス 代表

アメリカン・エキスプレスをはじめとして約30年にわたり計8社15のコールセンターの立ち上げ・再構築・運営に従事。グラクソ・スミスクラインでは国内屈指の高品質なコールセンターとして高い評価を集め、各種の表彰制度で数々の受賞を果たす。コールセンター運営に関する知識、経験、業績のいずれも他に抜きんでた業界の第一人者。著書に『コールセンター・マネジメントの教科書』https://cc-kyokasho.jp/2636031821.html (リックテレコム、2018年)

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