コールセンターの運営は、“企業経営の縮図”と言われるように、企業経営に必要なほとんどの要素を含んでいます。
その中でも、「ワークフォース・マネジメント」=「業務量の予測」と「要員計画」は、コールセンターにとって最も重要かつ優先すべき事項であると言えます。
なぜなら、ワークフォース・マネジメントは「コールセンターのすべての活動の起点」であるとともに、予算の大半を占める「要員の最適化」という重大な役割を担っているからです。
そこで、この連載ではまず、ワークフォース・マネジメントの「本物」の知識と実践法を数回に分けて解説します。初回となる今回は、その重要性と全体像について説明します。
ワークフォース・マネジメントはなぜ重要なのか
コールセンターの活動に必要なリソースの質と量は、「業務量を予測し、それに見合った要員数を算出する」ことにより決まります。
つまり、ワークフォース・マネジメントはコールセンターの運営の起点であり、それなしでは仕事が始まらないのです。
ワークフォース・マネジメントはすべての活動の起点

ただし、その予測や算出は容易ではありません。
というのは、コールセンターの仕事(その代表であるインバウンド・コール)は、その発生のタイミングや量、頻度などをコールセンターが自らコントロールできず、すべてが顧客の意思に委ねられているからです。そのため、業務量(コール数)の完璧な予測は不可能です。
しかも、それがランダム(不規則、つまりバラバラ)に入ってくるので、要員数(エージェント数)の算出は大変厄介です。
コール数に平均処理時間を乗じ、応答率と稼働率を加味して……といった単純な計算で求めることはできません。
このように、予測や算出が困難を極める一方、その正確性を欠くことは、人件費が75%を占めるコールセンターの予算や顧客サービスに大きな影響を与えます。
例えば、1時間に250コール、平均処理時間が240秒、エージェント数が21人の場合、1人減るだけで、… 続きを読む