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今そこにある危機「バイトテロ」から自社を守る
2019.03.08

ビジネスに潜む法律の落とし穴第3回

今そこにある危機「バイトテロ」から自社を守る

著者 田中 靖子

 アルバイトが職場で悪ふざけをする動画が、世間を騒がせています。こうした不適切動画がSNSで拡散されることによって、企業イメージが失墜し、株価が下落してしまうケースも見られます。このようなアルバイトの問題行動は、「バイトテロ」(バカッター)と呼ばれて社会問題化しています。

 現在ニュースとなっているのは、衛生面が問題となりやすい飲食店やコンビニが中心ですが、安全管理や個人情報を取り扱う会社も、当然バイトテロの対象となる危険があります。

 アルバイトによる問題行動を防ぐために、企業は何ができるのでしょうか?多くの会社では、アルバイトに対して倫理研修を行うケースが見られますが、アルバイトと取り交わしている契約書を見直すだけでも対策は可能です。

 今回は、明日にでも発生するかもしれないバイトテロを回避するために、「法的に有効な」対策を紹介します。

 

まずは「雇用契約書」で携帯電話の使用を制限する

 リスク管理として最も重要なのが、動画の撮影、およびアップロードを行うキーデバイスである携帯電話(スマートフォン)の使用制限です。アルバイト採用時に取り交わす書類に、携帯電話の使用に関する内容を加えておくことが重要です。

 見直すべき書類は、3種類あります。雇用契約書、誓約書、就業規則です。いずれの書類にも携帯電話に関するルールが定められていない場合は、改めて追記することが必要です。

 3つの書類の中で法的に最も確実なのは、雇用契約書です。就業規則は会社側が一方的に定めたルールであるため、アルバイトを採用するたびに周知を徹底しなければならず、周知に不備がある場合、法的効果は生じません。誓約書は、あくまでアルバイトの任意によって提出してもらう書類であり、提出は強制できません。

 これに対して、雇用契約書は、企業側とアルバイト側の双方が署名捺印するため、法律によって「双方が内容に了承した」ということが推定されます。内容がよほど不合理でない限り、無効となることはありません。

 

「ルールに違反したから賠償金」は、逆に雇用側が不利に

 それでは、雇用契約書に、携帯電話に関するどのようなルールを記載すればよいのでしょうか?

 まず、携帯電話の禁止をはっきりと定めます。例えば、「勤務中は社員が指定する場所で携帯電話を保管し、私用目的で使用してはならない」「休憩時間に携帯電話を使用する場合は、ロッカールームに限って使用すること」というように、具体的なルールを明記します。

 次に、罰則を定めます。不適切動画の撮影者、投稿者、撮影現場であおった者など、動画に関わった者全員が懲戒解雇の対象となることを明記します。

 このとき注意すべき点は、… 続きを読む… 続きを読む

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田中 靖子

田中 靖子

法律家ライター

東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、会社設立等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行っている。

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