RPAを活用した働き方改革の取り組みは、急速に広まっている。本連載を開始してから3ヶ月ほど経つが、もしかしたらこの間に導入を実現したという企業もいるかもしれない。

 最終回では、RPAのさらなる進化として、様々なテクノロジーを組み合わせた次世代のRPA「次世代デジタルレイバー」の活用方法を紹介する。

 

意思決定までできる「次世代デジタルレイバー」とは?

 現在のRPAは、業務プロセスやルールが固定化されている定型作業の自動化に使われることが多い。人間が定義したルール通りにロボットが画面を認識し、人間が作業するのと同様のやり方で画面を操作し、決められた業務プロセスに沿って作業を進めていく。

 今後はこうしたRPAの基本機能にOCR(印刷物の文字を読み取ってデータ化する光学式文字読取装置)やIoT(Internet of Things/モノのインターネット)、AI(Artificial Intelligence/人工知能)、ビッグデータ、クラウドをはじめとしたオープンプラットフォーム等、進化していくデジタル技術を組み合わせることで、企業のデジタル化はさらに加速する。

 デジタル技術と組み合わせることで、RPAは個々の分断された定型業務の自動化の枠にとどまらず、業務全体の自動化や分析・改善、意思決定まで担うことのできる新たな労働力「次世代デジタルレイバー」への進化が期待されている。

アビームが考える次世代型デジタルレイバーへの進化

 上の図は、アビームコンサルティングが考えるRPAの次世代型デジタルレイバーへの進化を示したものである。

 現在は、多くの企業がRPAを単体利用する「Stage1:Basic」の状態にあるが、先進企業はStage2:Cognitive」(コグニティブ=与えられた情報を処理する単なる機械ではなく、人間のように自ら理解・推論・学習するシステム)や、AIを活用する「Stage3:Intelligence」へ移行しつつある。RPAが業務とITの橋渡し役とすることで、経営環境の変化に応じたアプリケーション構成の最適化を、コストや現場への負荷を押さえつつ、短期間で実現できるようになるのだ。

 

RPAは進化するデジタル技術のつなぎ役

 今日、デジタル技術の進展によりビジネスの短サイクル化はより一層進展し、さまざまなテクノロジーが登場する「デジタル時代」に突入している。一方で、社内には長年使ってきたシステムやERP(基幹システム)が存在している。RPAはこうした一連の環境の中で、業務をデジタル技術や既存システムと最適につなぐ役回りとして不可欠なツールとなってくる。

 RPAを使えば、最適な業務アプリケーションを柔軟に組み合わせ、新技術をタイムリーに組み込むことができる。しかも既存のシステムや画面を生かしたまま業務プロセスを自動化し改善することが可能だ。人は常にRPAに対して仕事を行い、ロボットが新たなデジタル技術やアプリケーションとの間をつないでくれるプラットフォームを形成するようになる。このプラットフォームを、アビームコンサルティングでは「デジタルレイバー・プラットフォーム」と呼んでいる。

デジタルレイバー・プラットフォームの概念

 デジタル化の観点で見た場合、直近で最も求められているのがOCRとの連動である。日本のビジネスは紙文化が根強く、オフィスには紙で存在している情報が未だ多い。顧客から送られてくる請求書、納品書等も紙の場合が大半である。最終的にはこれらの紙がすべて電子化されることが望ましいが、顧客との関係性もあり、完全に無くすには時間がかかる。

 そこでOCRを活用し、紙のデータ化を実現する。最新のOCR技術では、前述のようなコグニティブ・コンピューティングの技術を取り込み、手書き文書や画像データといった非構造化データの認識や読み取りにも対応する。

 

RPA×OCR連携により、人手による業務時間を8割以上削減

 RPAとOCRの連携により紙ベースでの業務の効率化を図った事例を1つ紹介する。

 ある企業では、… 続きを読む

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安部 慶喜

安部 慶喜

アビームコンサルティング株式会社
戦略ビジネスユニット 執行役員 プリンシパル

幅広い業種における経営管理、業務改革、PMI及び事業計画策定等での実績を有す。 特にRPA領域では、ABeamグローバルの専門チームの統括責任者として、100以上のクライアントでの1,000以上のロボット導入を指揮。主な著書『RPAの威力』(日経BP社)。

共著/面條真由(めんじょうまゆ)
アビームコンサルティング株式会社 戦略ビジネスユニット シニアコンサルタント。

日系商社にて中東アフリカ地域の市場調査及び、新規案件開拓業務に従事。アビームコンサルティング入社後は商社を中心に、SSC化、海外拠点の業務改善、PMI支援等、国内外で幅広いプロジェクトに参画。近年は日系企業の働き方改革に取組み、RPA導入を含む業務効率化を推進。

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