ビジネスの問題を「ゲーム」で考える(前編)

「働かない管理職」はゲーム理論で変えられる

2018.05.24 Thu連載バックナンバー

「ゲーム理論」という言葉を、耳にしたことがある人は多いでしょう。ゲーム理論とは、人間が意思決定をする際の選択肢を数学的に分析し、理想的な選択を選ぶにはどうすればよいかを解明する学問です。ここでいう「ゲーム」とは、テレビゲームやスマホゲームとは違い、人間が戦略的に利得を獲得していく状況全般を指しています。

 このゲーム理論は、ビジネスの様々な場面も表現できます。たとえば、「働かない管理職」がなぜ生まれてしまうか、という原因も解析でき、それを防ぐためにはどうすれば良いのか?という対応策も見つかります。

 本連載では、このゲーム理論を用いて、企業で起こりがちな問題の解決法を考えていきます。初回となる今回は、先に挙げた「働かない管理職」の問題をテーマとします。

 

困った存在「働かない管理職」をどう変えるか

 管理職というポジションは、自分の仕事もこなしつつ、部下のマネジメントもしなければいけない、辛い立場の1つです。しかし中には、仕事をすべて部下に押し付け、自分は何もしない「働かない管理職」というのも存在してしまいます。部下にとっては大変厄介な存在ですが、会社にとっても、本来あるべき業務を怠っている点で困った存在です。

 しかし、なぜこうした働かない管理職があらわれてしまうのでしょうか? その謎は、ゲーム理論を使うことで解明できます。

 この問題を分析するまえに、ゲーム理論の基本的な考え方を紹介します。ゲーム理論では、3つの要素を元に考えます。1つ目が、意思決定をする主体としての「プレイヤー」、2つ目がプレイヤーが選択できる「戦略」、3つ目が、それぞれの戦略を取った時に各プレイヤーが得る「利得」です。

 たとえば、AとBというプレイヤーがいたとして、Aの利得が5、Bの利得が10の場合、(5、10)というように2つの数字を並べて表現します。ゲーム理論では、それぞれのプレイヤーが自分の利益を最大にするために合理的な戦略を選択すると仮定し、その結果が望ましいものになるかどうかを分析します。

 この場合、プレイヤー「中間管理職」と「部下たち」の2種類で、戦略として両者に「仕事をする」「仕事をしない」という選択肢が与えられます。

 

「利得」で仕事を考える

 次に、それぞれの戦略で得られる利得を考えます。今回は以下の4パターンとなります。

【利得A】管理職が仕事をする&部下たちが仕事をする

【利得B】管理職が仕事をする&部下たちが仕事をしない

【利得C】管理職が仕事をしない&部下たちが仕事をする

【利得D】管理職が仕事をしない&部下たちが仕事をしない

 たとえば、管理職も部下たちも仕事をした【利得A】場合、… 続きを読む

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景山 悟

景山 悟

経済ライター

起業、経営プロジェクト管理、技術経営などについて執筆活動、講義活動を展開中。

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