ビジネス界の偉人に学ぶ

なぜイーロン・マスクは新ビジネスを開拓できるのか

2018.04.23 Mon連載バックナンバー

 ビジネスパーソンであれば、「イーロン・マスク」という名前を1度は聞いたことがあるはずです。しかし、「何をした人か」と聞かれた場合、その答えは「アメリカで成功している起業家」「ネットの決済サービスを始めた人」「電気自動車テスラの経営者」「宇宙旅行を実現しようとしている人」といった具合に、バラバラになるかもしれません。

 先に挙げた答えは、いずれも間違いではありませんが、それぞれイーロン・マスクの一部でしかありません。彼は、インターネットの決済サービス「PayPal」の創業者であり、自動車メーカー「テスラ・モーターズ」のトップであり、宇宙船を製造開発する「スペースX」の創業者でもある、規格外のビジネスパーソンなのです。

 このように手広くビジネスを手掛けるイーロン・マスクとは、一体どのような人物なのでしょうか? そして、なぜ彼は次々と新ビジネスを開拓できるのでしょうか? 彼のこれまでの経歴を振り返りつつ、その答えを探ります。

 

連続起業家として名を馳せる

 イーロン・マスクは1971年に南アフリカ人の父親とカナダ人の母親との間に生まれました。17歳で大学入学資格を得るまで南アフリカで育ちましたが、10歳でプログラミングを独学で習得し、12歳の時にはビデオゲームを自作して売るなど、早くから実業家の片鱗を見せていました。

 大学進学にあたり、イーロン・マスクはアメリカへの移住を望みましたが、父親の反対にあったため、まず母親の親戚を頼ってカナダへ移住し、小麦農場や製材所での清掃や農作業などで生活費を稼ぐ日々を送りました。その後、奨学金を得てアメリカのペンシルバニア大学で学位を取得し、スタンフォード大学院入学のため、シリコンバレーのあるアメリカ西海岸へ移ります。

 1995年当時のシリコンバレーはまさにインターネット産業の黎明期でした。元々ITに強い興味を持っていたイーロン・マスクは大学院を2日で退学し、弟と共に起業する選択をします。

 起業したイーロン・マスクがまず手掛けたのは、オンラインのシティガイド(インターネット版タウンページのようなもの)で、彼は1999年にこの「Zip2」というサービスを、パソコン大手のコンパック社に3億ドル超(現在のレートで約321億円超)で売却しました。

 Zip2売却で得た資金を元手に、イーロン・マスクはオンライン決済サービスのX.com(現・PayPal)を立ち上げます。PayPalは3年後の2002年に大手ECサイトeBayに買収され、彼は1億8,000万ドル(約192億円)を手にします。

 PayPal売却までのイーロン・マスクは、まず小さく事業を立上げ、軌道に乗ったら売却して、その資金を元手に更に大きな事業を立ち上げるという、いわゆる「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」そのもののような動きをしています。

 しかしその後は、他のシリアルアントレプレナーとはスケールの違う、桁外れに大きな挑戦に乗り出します。

 

ビジネスマンというよりも「エンジニア」

 PayPal売却後のイーロン・マスクは、… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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