海外発!最新「働き方」事情2018(中国・大連)

“共働き大国”中国における仕事と子育ての両立法

2018.05.01 Tue連載バックナンバー

 小さな子供を2人抱える日本の知人が、下の子の急な病気で出社できなくなったとき、「忙しい時期にすみません」と、上司や同僚に謝りながら休暇を申請していた。その姿を見て、筆者も息子が小さかった頃はあちこちに謝ってばかりだったなあと、同情せずにはいられなかった。

 筆者は当時小1の息子を連れて中国に渡り、2人暮らしを始めた。その話をすると、日本の人々は「すごいですね」「大変だったでしょう」と驚く。しかし、「仕事と子育ての両立」に関して言えば、中国の方がずっと楽だった。

 

柔軟な職場、子連れ出勤も寛容

 中国には日本のような手厚い育児休暇はない。半年の産休があるのみだ。それでも、仕事と子育てがしやすいと感じるのは、夫婦共働きがスタンダードであり、国や自治体の制度に頼らず、社会全体で子育てを支える風土があるからだ。

 筆者の知人で、大使館高官を務める夫に伴い来日した50代の女性は、「自分で稼いだお金で買い物をしたい」と、公募に応募してその大使館の窓口で働き始めた。中国人女性向けのイベントで講師をした際、専業主婦がいるか問いかけたら、約百人のうち1人しか手が挙がらなかった。それくらい中国は、共働きが浸透しており、専業主婦のコミュニティーも聞いたことがない。

 一昨年2月に出産した同僚は、その年の4月に職場復帰した。ただし、午前中の2時間だけ勤務して帰宅する。時短という制度はなく、ニーズに合わせて現場で柔軟に対応している。

 子どもがいて、仕事をするのは当たり前なので、日本から見ると職場も非常に寛容だ。

 例えば、中国の小学生は一人で下校せず、保護者が迎えに来る。祖父母に頼めない夫婦は託児所を利用することが多いが、どちらかが職場を抜けて子供をピックアップし、自分の仕事が終わるまで職場で宿題をさせていても、誰も何も言わない。

 小学校が午前中で終わるときは、子供を勤務先の食堂に連れて来て一緒にご飯を食べる。学校の運動会で、手の込んだお弁当を持ってくる子はいない。パンを持ってきたり、近くの食堂に食べに行ったりする。そもそも、運動会の日が前日に通知されたりするので、日本のように朝5時に起きてお弁当作り、という気にもならない。

 

仕事は大事、子供はもっと大事

 中国のいい加減さも、子育てにはむしろプラスに働く。… 続きを読む

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浦上 早苗

浦上 早苗

海外書き人クラブ所属、中国経済ライター

1998年から2010年まで西日本新聞社記者。その後中国政府奨学金を受け博士留学(専門は経営学)。中国・大連の少数民族向け国立大学で教員。中国経済ニュース、米国経済ニュースの翻訳の他、中国経済関連記事を執筆。法政大学MBA兼任教員。

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