海外発!最新「働き方」事情2018(スウェーデン・ストックホルム)

スウェーデン流の育休制度が経済発展に貢献している

2018.05.08 Tue連載バックナンバー

 北欧のスウェーデンは“イクメン”パパのメッカ。“パパ友達”が赤ちゃんを乗せたベビーカーを押しならがら並んで散歩している姿は、街なかでよく見かける。イギリスやアメリカの新聞やテレビも、こうしたイクメンパパたちを取り上げるためわざわざ取材に来るほどだ。

 福祉大国として有名なスウェーデンの育児休暇は世界でも一番長く、労働者には手厚い保護が保障されている。働き盛りの男性が長い育児休暇を取ると雇用者側の負担はどのくらいになるのか、どうやって生産性のレベルを保つのかなど疑問点が浮かぶが、既に40年を超える歴史を持つこの育児休暇制度は、「スウェーデンモデル」と呼ばれる平等と機会均等を柱にした国家戦略の一部で、スウェーデンの経済発展に大きく貢献している。

 

共働き家庭を支えて43年

 2017年の統計によると、スウェーデンで父親に与えられる育児休暇の消化率は「29%」という。なんだそれほどでもないじゃないか、と思われるかもしれないが、両親合計して一子につき480日も育児休暇が与えられるため、父親は約130日、営業日に換算して約6ヶ月間育児休暇を取る計算になる。

 それまでの母親専有の育児休暇制度から、両親で分配できる現在の育児休暇制度に改革されたのが1974年。スウェーデンでも導入当時はまだ社会の理解が得られておらず、その年に父親が取った育児休暇はたったの0.5%だった。それから43年、両親育児休暇は母親が家庭に留まる必要をなくし、ヨーロッパでも小国のスウェーデンの目覚しい経済成長を支える労働力の源として活躍する制度になった。

 

労働市場の完璧な男女平等を目指す

 他国から見るとかなり進んでいるように思われる現状だが、育児休暇の“両親五分五分”を目指すスウェーデンでは、いまだに71%が母親に利用されているという男女差が問題視されており、最近、父親と母親の利用率をさらに平等化しようとする補正案が政府に提案された。

 新案によると、両親それぞれに特定された有給育児休暇がおのおの5ヶ月となり、父親にしかとれない期間が今までの3ヶ月から5ヶ月に延長される。さらに、… 続きを読む

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中妻 美奈子

中妻 美奈子

スウェーデン在住ライター

フリーのレポーター、PRコンサルタントを経て、現在はスウェーデンのIT企業で広報を担当中。北欧の美しい街、ストックホルムで、一般にはあまり興味の対象でない通信情報技術関係のテクニカルな情報をメディアに売り込むことに使命を帯び、喜びを感じる日々を送っている。スウェーデン在住15年。ティーンの息子二人と夫の四人家族で冬の寒さにも暗さにもめげずに生活している。著作「監訳 スウェーデン式アイデアブック」(ダイヤモンド社)。共書「値段から世界が見える」(朝日新書)。

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