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リーダーの「敬意」の使い方で組織や部下が変わる
2019.02.26

海外論文に学ぶビジネスのコツ第9回

リーダーの「敬意」の使い方で組織や部下が変わる

著者 前野 智子

 職場で自分が尊重されていると感じることは、働くモチベーションを左右する重要な要素となり得ます。ジョージタウン大学が世界各国で働く約2万人を対象に実施した調査では、リーダー層が取るべき行動の中で一番重要なのは「敬意を示すこと」という結果が出ました。

 マーケット大学助教授のクリスティ・ロジャーズ氏の論文“Do Your Employees Feel Respected?”によると、リーダーの多くが、敬意をマネジメントの重要な要素だと認識しています。その一方で、従業員側からは「リーダーから敬意を欠いた扱いを受けた」という報告が毎年多数挙がっており、大企業のリーダーや経営幹部は、敬意を欠いた行動の尻ぬぐいのために、年間で約7週間分もの時間を費やしている計算になるといいます。

 

職場でリーダーが示すべき2種類の敬意

 リーダーと従業員の間で敬意の認識にギャップができる原因は、リーダーが「敬意の示し方」について、十分な知識を持たないからであるとロジャーズ氏は分析します。

 職場で従業員が価値を感じる敬意には「基礎敬意(Owed respect)」と「獲得敬意(Earned respect)」という2種類があるといいます。

 まず「基礎敬意」とは、全員に平等に示されるべき敬意で、「チームの一員として受け入れられたい」という普遍的な欲求を満たす役割があります。基礎敬意が示されていると、従業員は安心して自分の仕事に向き合うことができます。たとえばリーダーがメンバーに対し丁寧な言葉遣いや態度を示したり、全員が価値のある存在だという空気感を醸成したりすることで、基礎敬意を示すことができます。

 次に「獲得敬意」とは、個別に示されるべき敬意で、「自分が優れていると認められたい」という欲求を満たす役割があります。たとえば成果を上げたメンバーを表彰したり、優れた発言や行動をした部下を皆の前で褒めたりすることによって、獲得敬意を示すことができます。

 基礎敬意と獲得敬意は、どちらも職場にとって不可欠な存在です。基礎敬意が不足していると、人が組織の歯車のように扱われがちで、従業員の幸福度が下がってしまいます。また、獲得敬意が不足している職場では、成果を上げても得るものが無いため、組織の業績や方向性に無関心な従業員が多くなるという問題が生じます。

 

基礎敬意と獲得敬意のバランスを使い分ける

 リーダーは基礎敬意と獲得敬意の両方を十分に示す必要がありますが、その比重にも注意する必要があります。ロジャーズ氏の研究によれば、2つの敬意のバランスが崩れると、組織のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがわかっています。

 たとえば、基礎敬意は十分にあるが獲得敬意が足りない環境の場合、従業員は「何をしても自分の評価は変わらない」と感じます。すると仕事を… 続きを読む… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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