リーダーは、部下の仕事の進捗状況を確認するため、取引先の情報を得るためなど、毎日たくさんの質問をしています。しかし多くのリーダーは「何を聞くか」だけを考えていて、「どのように聞くか」を意識していない、とハーバード・ビジネス・スクールで経営者教育カリキュラムを手掛けるアリソン・ウッド・ブルックス助教授は警鐘を鳴らします。

 アメリカでは、弁護士や医師といった専門職の人々は、その養成課程で質問の仕方を必須技能として教わっているといいます。それに対し、企業の経営者や管理職層は、質問の持つ意義や方法論についてあまりにも無知である、とブルックス氏は主張します。彼女の論文「The Surprising Power of Questions」から、リーダーが身に着けるべき質問力について紹介します。

 

質問を多くすれば、好感度と理解度が上がる

 質問力をつけるための第一歩は、多くの質問をすることといいます。ブルックス氏らはオンラインチャットとお見合いパーティーの場で、質問の頻度に関する実験を行いました。自己紹介の際、一部の参加者には15分間で9回以上質問させ、残りの参加者には質問の回数を15分間で4回以内に抑えるよう依頼したのです。

 すると、質問をたくさんした参加者の方が、相手から好印象を持たれることがわかりました。

 ここでいう質問とは、大きく4つのことを指します。「前置き」(お元気ですか?)、「オウム返し」(元気です。あなたは?)、「方向転換」(ところで、~ですか?)、「フォローアップ」(~はどういうことですか?)です。質問の数を増やそうとする時、参加者は無意識にフォローアップの質問を使っていました。フォローアップの質問は、情報をさらに引き出すことを意図したものですが、相手に「自分の話を聞いてくれている、興味を持ってくれている」という印象を与える効果もあったのです。

 さらに、質問は相手への理解度も上げるという結果も示されました。実験後に、会話相手の趣味嗜好に関するクイズを出したところ、たくさん質問をするよう指示された参加者の方が、正しく推測することができていたのです。

 行動科学の研究では、人が会話をする目的は「情報交換」(学ぶこと)と「印象操作」(好感を得ること)の主に二つであることがわかっています。質問をすることで、会話の目的二つを同時に果たすことができてしまうのです。

 

協力? 競争? 会話の目的によって変わる質問の順序

 とはいえ、ただ数多く質問するだけで質問力が身に付くわけではありません。質問の効力を高めるには、まずその会話の… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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