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なぜ忙しい時ほど重要でない仕事をしてしまうのか
2018.06.06

海外論文に学ぶビジネスのコツ第3回

なぜ忙しい時ほど重要でない仕事をしてしまうのか

著者 前野 智子

 今取り組むべき仕事がいくつもある場合、私たちは優先順位を決めて取り組むのがセオリーです。たとえば重要な仕事の優先順位を高くし、そこに多くの時間と労力を割けるよう進めていくのが、理にかなった判断でしょう。

 しかし、米エモリー大学ゴイズエタビジネススクールのDiwas Singh KC氏らの研究論文「Task Selection and Workload: A Focus on Completing Easy Tasks Hurts Long-Term Performance」によると、人は仕事が山のように積みあがると「タスク完了バイアス」が働き、正常に優先順位の判断ができなくなるというのです。

 優先順位の判断を誤らせる「タスク完了バイアス」とは一体どんなもので、私たちの仕事にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

人間は「仕事を終わらせた」実感がほしい

 Diwas氏らが着目したのは、医師が次に診察する患者をどのように選ぶか、という点です。ある病院を対象に、救急で訪れた患者9万人に対する診療データを分析しました。

 その病院には「患者の症状の重さ」と「待ち時間の長さ」という二つの要素を基準として順番に診察するというガイドラインがあり、多くの場合、それは守られていました。

 しかし、待合室の患者数が増えるにつれて、一定数の医師が規定の優先順位を無視し、症状の軽い患者を優先的に診察するという傾向を見せたのです。

 Diwas氏らの分析によると、やるべき仕事が目の前に積みあがると、人は「何かを終わらせた」という実感を得たいがために、重要性や本来の優先順位とは関係なく、「短時間で簡単に終えられそう」と感じる仕事を優先させてしまうというのです。これは”Task Completion Bias”「タスク完了バイアス」と呼ばれ、仕事量が増えれば増えるほどタスク完了バイアスもエスカレートしていくことがわかりました。

 

簡単な仕事を優先すると、重要な仕事の成果があがらない

 タスク完了バイアスの高い人は、他の重要な仕事があるにも関わらず、目先の小さな課題にどんどん取り組んでしまいます。

 Diwas氏の実験でも、タスク完了バイアスの高かった医師は症状の軽い患者ばかりを優先して診察するため、症状の重い患者ほど待ち時間が長くなるという危険な状態に陥りました。さらに、症状の重い患者を診る頃には、… 続きを読む… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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