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理想のリーダー像は「即興劇」の中にある
2019.10.30

海外論文に学ぶビジネスのコツ第17回

理想のリーダー像は「即興劇」の中にある

著者 前野 智子

 仕事の成果を高めるためには、ひとりひとりが組織のために積極的に発言し貢献しようとする姿勢が不可欠です。しかし多くのチームでは、リーダーの顔色をうかがって自由な発言ができない空気であったり、指示を待つばかりのメンバーがいたりと多くの課題が存在します。

 リーダーがチーム内のコミュニケーションを活性化し、メンバーの意欲を引き出す方法として、即興劇で使われるテクニックが有効であるという研究結果が論文“Using Improv to Unite Your Team”で発表されています。

 

即興劇の中に理想のチームの在り方を見出す

 行動科学者のフランチェスカ・ジーノ教授は、これまで世界中の多種多様なチームを観察してきました。残念ながら多くの場合、従業員の生産性や満足度は、「チームでの活動」によって低下していました。その主な原因は、リーダーが会話を支配しがちなことです。

 チームプレイを観察する実験を行った際、リーダーが支配力を感じさせるようにしたグループでは、他のメンバーの貢献度が低くなっていました。さらにメンバーの多くがチームでの作業を楽しめておらず、チームの成果自体も他のチームに比べて悪いものでした。リーダーがメンバーの話に耳を傾ける姿勢が乏しいことで、チームはやる気を失い、自分の考えを述べることに恐怖や無力感を感じてしまうのです。

 そんな中、ジーノ氏が最もうまく機能していると感じたのは、研究対象の有名企業のチームではありませんでした。彼女は理想のチームの姿を、趣味で参加した「即興劇」のワークショップで見出します。

 即興劇とは、インプロ(インプロヴィゼーション、Improvisation)と呼ばれる演劇の種類で、台本が無く、与えられた設定に沿って役者たちが即興でストーリーを作り出していくものです。ジーノ氏が参加したワークショップでは、参加者全員の発言が平等に歓迎され、皆が共通の目標に向かって積極的に貢献し合う雰囲気が作り上げられていました。ジーノ氏はこれをビジネスシーンにも応用することで、チームの活性化に役立つのではと考え、リーダーが使いこなすべき即興劇の3つのテクニックを紹介しています。

 

相手が話している時に自分が話す準備をしない

 まず1つ目は、相手が話している時に自分が話す準備をせずに、相手の話を最後の一語まで聞くことです。

 即興劇のワークショップには“Last Word Response”(最後の単語で返答)というゲームがあったそうです。例えば相手が「夢を見ました昨日の夜に。ネズミが親友になったんです、5匹の猫と!」と言ったら、次は… 続きを読む… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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