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教育熱心なリーダーは、かえって部下に悪影響を与えている?
2019.04.24

海外論文に学ぶビジネスのコツ第11回

教育熱心なリーダーは、かえって部下に悪影響を与えている?

著者 前野 智子

 部下をどう育てるかは、リーダーにとって最も重要な課題のひとつです。一見リーダーが部下の指導に多くの時間とエネルギーを使う程、部下の仕事ぶりも向上するように思われます。

 しかし最近の研究によると、教育熱心なリーダーの下についた部下のパフォーマンスは、むしろ低下することが明らかになりました。

 なぜ教育熱心なリーダーが部下のパフォーマンスを下げてしまうのか、アメリカのリサーチ会社ガートナー社の調査レポート”Managers Can’t Be Great Coaches All by Themselves“を基に、部下の育て方と成果の相関関係について分析します。

 

教師? チアリーダー? リーダーの4つの指導スタイル

 ガートナー社は、様々な企業の管理職層と従業員7,300人を対象に調査を行い、リーダーの指導スタイルを「教師型」「常時OJT型」「コネクター型」「チアリーダー型」という4つに分類しました。

 まず「教師型」は、自分の専門知識や経験に基づいた具体的なアドバイスを部下に与えて教育するタイプのリーダーです。このタイプは長年ひとつの会社や同じ業界で働き、特定の専門技術を蓄積した上で管理職に就くパターンが多いといいます。

 次に「常時OJT型」は、部下の能力育成の内容を詳細に把握し、随所で多種多様なアドバイスやフィードバックを行うタイプのリーダーです。このタイプは、部下のスキル向上への働きかけを日常業務の一環として常に意識しており、4つのタイプの中で最も部下の教育に熱心なリーダーといえます。

 3番目の「コネクター型」は、自分が直接指導を行う分野と、他人の力を借りる分野を明確に分けるタイプのリーダーです。自分の専門分野以外の指導は直接行わず、社内で適任者を探して部下に紹介します。

 最後の「チアリーダー型」は、直接的な教育や干渉をあまりせず、部下の自主的な能力開発を支援するタイプのリーダーです。このタイプは、部下に肯定的なフィードバックを送り、近くで見守りますが、他のタイプほど部下の能力育成に積極的ではないといいます。

 各タイプの割合は、一番多いチアリーダー型で29%、最も少ないティーチャー型でも22%と、差が小さく、業界などに関わらず、どの組織にも各タイプがほぼ四分の一ずつ均等な割合で存在していました。

 

教育熱心な常時OJT型リーダーは部下の成長に有害

 次にガートナー社は、リーダーの4つの指導スタイルと部下のパフォーマンスの相関関係について分析しました。当初、彼らは「常時OJT型」リーダーの部下が、最も高いパフォーマンスになると予想していました。このタイプのリーダーは最も教育熱心で、人事関係者の間でも、常時OJT型の指導スタイルが理想像と考えられてきたからです。

 しかし結果は… 続きを読む… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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