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部下の好奇心を組織運営に活かす、リーダーの振る舞い方とは
2019.03.18

海外論文に学ぶビジネスのコツ第10回

部下の好奇心を組織運営に活かす、リーダーの振る舞い方とは

著者 前野 智子

 最近の研究によって、従業員の好奇心が、企業の業績に大きく貢献することが明らかになっています。好奇心が刺激される環境では、イノベーションが促進されたり、組織内の対立が減ったりするなどの恩恵がもたらされると、ハーバード・ビジネススクール教授のフランチェスカ・ジーノ氏は指摘します。

 その一方で、効率性やリスク抑制を重視するリーダーによって、部下の好奇心が発揮し難くなっている場合も多いといいます。彼女の論文”The Business Case for Curiosity”より、リーダーが好奇心を組織運営に生かすためのヒントを読み解きます。

 

好奇心が湧いていると、困難を前向きに捉えられる

 ジーノ氏は企業で働く約200名を対象に、好奇心を刺激された場合と、そうでない場合の変化を調べる実験を行いました。

 片方のグループには、1か月間週2回始業時に「業務中に必ず何回かは『なぜ?』と自問したり、普段から疑問に思っていることを思い起こす時間を作ってください」と好奇心をかき立てるようなメッセージを送ります。逆にもう一方のグループには「今日やるべきことを思い起こし、他のことに注意を逸らさないようにしてください」と好奇心を刺激しないメッセージを送るのです。

 4週間後、2つのグループの仕事ぶりを比較してみると、好奇心を刺激されたグループの方が、組織の大きな問題に建設的な提案をするなど、イノベーティブな成果を上げていたことがわかりました。ほかにも、ストレスの掛かる状況でも自然体でいられたり、挑発に対してむきになりにくいといったメリットも見られました。好奇心が湧いていると、困難な状況でも前向きに捉え、気負い過ぎずに挑戦できる、といえるでしょう。

 

好奇心によって組織内の対立が減る

 もうひとつ、好奇心には組織のコミュニケーションを活性化させ、対立を抑えるメリットがあることも、実験によって明らかになっています。

 ジーノ氏はハーバード大学のリーダーシッププログラム参加者を5~6グループに分け、一部のグループにだけ好奇心を刺激する課題に取り組ませました。その後全グループに共通の模擬実験を受けさせたところ、好奇心を刺激される課題に取り組んだグループが特に良い結果を残しました。

 好奇心を刺激されたグループの動きを分析すると、彼らは情報を積極的に共有し、他の人の意見にも熱心に耳を傾けていました。人は好奇心を刺激されると、これまでの自分の主張に固執しなくなり、他者の考えにも興味を持つようになります。

 その結果、ステレオタイプな考えから抜け出すことができ、自分とは異なる発想も積極的に受け入れるようになります。さらに、組織内の対立が減って、複数人での仕事も円滑に進むようになり、組織全体の成果も向上するのだといいます。

 

リーダーが組織の好奇心を抑制しがちな現状

 このように、好奇心は組織に大きなメリットをもたらすにも関わらず、多くのリーダーは、残念ながら… 続きを読む… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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