安部徹也のMBAエッセンス講座(第7回)

厳しい環境でも高い成果をあげる組織の作り方

2018.05.31 Thu連載バックナンバー

企業の業績はヒトの活用次第

 経営資源のうち「ヒト」をどのように活用するかは、企業の業績にとって重要な課題となります。「企業は人なり」という言葉が示すように、人材の活用次第で1+1が1に留まることもあれば、逆に3にも4にもなることもあるのです。ビジネスは決して足し算ではなく、ヒトをうまく活用することによって、業績は大きく変わってきます。

 たとえば、日本航空(JAL)はリーマンショックの影響によって航空需要が激減したにもかかわらず、「うちの会社が潰れるわけがない」と多くの社員が危機意識を持つことなく、従来と変わらない活動に終始していました。その結果、売上が大幅に減少したにもかかわらず、高いコストはそのままで大きな赤字を計上して、経営破綻に追い込まれてしまったのです。

 同社は会社更生法を申請後、京セラを一代で築き上げた稲盛和夫氏を招聘します。その稲盛氏が会長として真っ先に取り組んだのが、社員の意識改革だったのです。この稲盛氏のヒトを変革する経営手腕により、日本航空はリストラを敢行してかつてより大幅に少ない人的資源だったのにもかかわらず見事に業績をV字回復させ、倒産からわずか2年で過去最高益を上げて、再上場を成し遂げたのです。

 このような日本航空の短期間の社員の意識改革に伴う業績の大幅な変化を目の当たりにすると、ヒトの活用次第でビジネスの結果はまったく変わったものになるということに異論をはさむ余地はないといえるのではないでしょうか。

 

組織戦略を駆使して、効率的に成果につなげよう

 企業において、利益を生み出すまでの一連の業務を完結させるために、非常に多くの社員や様々な組織が関与しています。特に大企業であれば、数万人の社員を抱え、組織は数百に及ぶということもあるでしょう。このような多くの社員や組織を効率的に動かし、最高の成果を上げるという意味でも、各社員や組織の役割分担や関係性を明確にする組織戦略が重要な役割を果たすことになります。

 組織戦略では、自社の置かれた状況に応じて適切な組織の形を見極め、効率的に成果を上げていくための組織を構築していかなければなりません。具体的には「各組織がどのような役割を果たすか?」「人材をどのように配分するか?」「各人にどのような権限を与えるか?」「どのような指揮命令系統にするか?」などを明確に決定していくことになるのです。

 このような組織戦略は「(1)組織を構築する目的を明確化する、(2)組織の構造を検討する、(3)組織を環境に合わせて変化させる」の3つのステップで進めていくことができます。以下、順を追って紹介します。

 

(1)組織を構築する目的を明確化する

 組織を構築する目的は、すでに立てた経営戦略やマーケティング戦略を踏まえて、効率的かつ効果的に成果を高めていくことにあります。

 ですから、ただ単に組織図を描いて、組織を決定するのではいけません。「組織は戦略に従う」という言葉があるように、自社が立てた経営戦略や自社を取り巻く環境に応じて明確な目的意識を持って組織戦略を検討していく必要があるのです。

 たとえば、… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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