自社の問題点は「財務分析」で浮き彫りになる

 企業が作成する「決算書」は、 “企業の通知表”というべき存在です。貸借対照表と損益計算書で企業の安全度を測ったり、ビジネスモデルの特徴を浮き彫りにできます。

 前回は、このような財務諸表の読み解き方を説明しましたが、今回はさらに踏み込んで、決算書の数字を“加工”して、自社の問題点を洗い出す「財務分析」を行っていきましょう。

ここでいう“加工”とは、財務諸表の数字を抜き出し、計算することで、財務を分析することを指します。今回は『収益性』『安全性』『効率性』の3つの観点から、財務分析を行っていくことにしましょう。

 

【1】収益性を分析してみよう

 収益性の財務分析では、自社がどのくらい利益を上げているのかという利益率を計算していくことになります。

 利益率は低いよりは高い方が望ましいですが、利益率は業種によって異なり、適切な水準は何%ということは難しいといえます。そこで、自社の過去の水準やライバル企業の利益率を目安に自社の目標とする利益率を設定するといいでしょう。

 利益率は、5つの利益を売上高で割ることによって求められます。計算された利益率が比較する水準(自社の過去の数値や業界標準、ライバル企業の数値など)から極端に低いようであれば、そこに問題があることがわかります。

 1つ目が、「売上高総利益率」です。この利益率が低いということは、原価率が高いという証拠です。問題があれば原材料費の引き下げを図ることによって、利益率の向上を実現することができます。

 続いては、「売上高営業利益率」です。この利益率が比較する水準と比べて極端に悪い場合、販売促進費や管理費が膨れ上がっていることが原因です。解決するためには、人件費や広告宣伝費などを見直す必要があるでしょう。

 次は、「売上高経常利益率」。この利益率が低くなっている場合は、借入が多く、銀行への利払いが事業の大きな負担になっているサインです。借入元本を減らしたり、金利の減免を要請したり、利息の軽減を図る必要があるでしょう。

 そして、4つ目は「売上高税引前当期利益率」になります。この利益率は、特別利益に影響を受けるために、店舗を撤去した除去損や株式投資に失敗した損失など、その年だけの損益に左右されます。この利益率を改善するためには、資産を売却して特別利益を計上したり、2度と特別損失が発生しないように心掛けたりすることが有効です。

 最後は、「売上高当期純利益率」になります。この利益率に問題があるということは、税金の支払い額が多いということを意味しますが、税金だけに一企業がコントロールすることはできません。そこで、上の4つの利益水準を高めることによって、最終的な利益率を高めていくという考えで改善していくことが望まれるでしょう。

収益性を確認しよう

 

【2】安全性を分析してみよう

 続いては、企業の安全性を測っていくことにしましょう。ビジネスはキャッシュが命であり、このキャッシュが底をつくと、事業を継続することができなくなります。そこで、安定的にキャッシュを回していけるかどうか安全性を常に確認しておく必要があるのです。

 安全性は様々な指標で測れますが、今回は代表的な2つの指標を紹介しましょう。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

関連キーワード

連載記事