弁護士である西中務氏の『1万人の人生を見たベテラン弁護士が教える「運の良くなる生き方」』(東洋経済新報社)という本について、前編では「謙虚な気持ちがない人、争う人は運を落とすこと」、「争いを避けるためには先に相手への態度を変えれば良いこと」、「ビジネスを上手く回すためには運の恵みは必要」という点を紹介しました。

 本書をさらに読み進めていくと、無駄な争いを避けるためには具体的な方法が紹介されています。そして、争いごとを避けることで、ビジネスが上手く回る理由の根拠が示されています。

 

「感謝」の気持ちが争いを解消し、運を呼ぶ

 仕事上、人とのつながりで、意図せず争いに発展してしまうと、相手への態度を変えても、悪い方向へと進むこともありえます。

 そういうときは、西中氏は「相手に感謝すれば、争いを避けられる」とします。

 西中氏によれば、相手から「やってもらっていること(お世話になっていること)」や「迷惑をかけていること」を思い返すようにすると、自然と感謝の気持ちが湧くといいます。周囲に対する態度を変えるだけではなく、感謝の気持ちを持つことが大事なのです。

 しかし、それが相手に伝わらなければ意味がありません。本書によれば、相手に感謝を伝える具体的な方法として、「人を思いやる言葉」「励ます言葉」「褒める言葉」をかけることを指摘しています。

 人間関係の多くは言葉を使って構築されていきます。人を思いやる言葉は信頼を築き、励ます言葉は人の心を明るくし、褒める言葉は人を積極的にします。これらによって生まれた人間関係は上手くいき、運が味方してくれるといいます。

 実際に人を思いやる言葉が運を呼び寄せたエピソードが、本書には記されています。以下に紹介します。

 

骨肉の争いを解決した弟のひとこと

 「僕は兄貴の不利なことなんか、せえへん」

 これは、社長の父と専務の兄とともに、常務としてスーパーを切り盛りしていた弟が発した言葉です。

 父の死後、兄は経営を引き継いだものの、弟は独立し、別のスーパーを運営していました。兄弟は、父が残した広い土地について、お互いに「自分のもの」と主張し合い、調停から審判に移行するところだったそうです。西中氏は、親を亡くしたうえ、兄弟が憎み合い争うことで「2人の運が落ちるのでは」と、行く末を案じていました。

 ところが、先に挙げた弟のひとことで、争いは解決したのです。

 兄弟の争いの原因は、お互いが強欲だったわけではなく、… 続きを読む

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石盛 丈博

石盛 丈博

ITC 代表

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