キャリア・アンカーだけでは会社の変化に対応できない?
仕事のキャリアを選択するにあたり、自分が最も大切だと考える価値観や要求のことを「キャリア・アンカー」と呼ぶ。前回はキャリア・アンカーの全8タイプについて取り上げ、社員それぞれが自分の「アンカー」に気付き、会社側も社員のアンカーを考えながら適所に配置して組織づくりをすることが必要である、と述べた。
しかし、会社は社会の変化によって常に変わり続けるものであり、社員のキャリアと会社の方針が常にマッチしているとは限らない。場合によっては、会社側が社員のキャリア・アンカーに関係のない仕事をいつの間にか任せるようになり、社員もそれを甘んじて受け入れるケースもある。
このような状況が続くと、本人のキャリア・アンカーと実際の業務に齟齬が発生してしまう。望まない仕事を任されるのでは、本人のやる気も上がらず、成果も上がりにくい。
会社と社員、それぞれが望む仕事のマッチングをうまく成立するためには、キャリア・アンカーとは別に、「キャリア・サバイバル」という考え方が必要になる。
組織のニーズから人材を配置する方法
キャリア・サバイバルは、キャリア・アンカーの提唱者である、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院の名誉教授、エドガー・H・シャイン博士が提示した、組織のニーズから人材を適所に配置するための診断ツールである。社員側のニーズから最適な職務を導き出すキャリア・アンカーとは逆のアプローチになる。
キャリア・サバイバルを行うためには、「職務と役割の戦略的プラニング」と呼ばれる、以下の6つのステップを用いて実施する。以下、少し長くなるが説明する。
まず【ステップ1】では、現在の自身の職務と役割を調査する。仕事内容だけでなく、仕事に関係する関係者の役割や関係についてもリストアップし、もし自分が期待通りの成果を上げることができなかった場合、… 続きを読む