コールセンターでのコミュニケーションは、顧客とオペレーターとの間だけではありません。SV(スーパーバイザー)が、オペレーターに対しどのように指示を出すのかも重要な要素となります。
本記事では、コールセンターで実際に起きた事例をもとに、どのように「指示」や「教育」を行うべきかを考えます。
説明不足の指示が招いたトラブル
SVと、実際に顧客のコールに対応するオペレーターとの意識がズレていると、コールセンターはトラブルを解決するどころか、トラブルを生み出してしまいます。以下、自動車メーカーのコールセンターで実際にあった例を紹介します。
ある自動車メーカーのコールセンターに、苦情の電話がかかってきました。「たとえ中古車とはいえ、人の命を預かる商品だ。メーカーが修理費用を負担すべきだろう」という、無償修理を求めるクレームです。
このコールに対し、新人の苦情担当者が対応をし、ベテランのSVがモニターを担当します。クレーマーと苦情担当者の会話の内容をSVが聞き、クレーマー側に聞こえないよう、苦情担当者にどのような対応をすべきか具体的な指示を出す、という図式です。
苦情担当者「すでに保証継承もされていない中古車ですので、それはちょっと……」
クレーマー「自動車は普通の商品とは違う。保証期間を理由に逃げようとしてもそうはいかんぞ」
苦情担当者「中古でご購入ですから、メーカーの保証そのものがありません。ですので、無償は……」
苦情担当者はクレーマーの剣幕に配慮しつつ対応していますが、どっちつかずの曖昧な対応を取ってしまい、対応に時間がかかっています。
そこでSVが、苦情担当者に対し「そこは、きっぱり断って」と指示をしました。すると苦情担当者は、… 続きを読む