安倍政権では現在、働き方改革の一環として、有給休暇の推進に力を入れています。2020年までに有給消化率を70%に上げることを目標に掲げており、2017年以降に有給義務化の法案を成立させる見通しです。そのモデルケースとして、内閣府のレポートでは北欧スウェーデンの休暇の過ごし方が取り上げられています。
スウェーデンは夏休みが長いことで知られており、一般企業の夏休みは6週間もあります。毎年6月から8月の間に、交代で休暇を取ります。夏休みはもちろん有給であるため、生活費を心配することなくゆっくり休むことができます。
では、どうしてスウェーデンでは1ヶ月以上の長い休みを取ることができるのでしょうか。
休暇は「企業の利益のために必要な期間」である
スウェーデンでは、長時間労働は生産性を低下させる原因だと考えられています。長期休暇は脳内をリフレッシュして生産性を高めるために必要な期間であり、「休暇は従業員のためではなく、企業の利益のために必要な期間である」という考え方が一般的です。
そのため、同国の企業の経営者は、夏休みを不可欠の期間と考えています。経営スケジュールを立てる際には、1年間を「11ヵ月」と捉えて戦略を立てます。
スケジュールの段階で、夏休みの期間を念頭に入れているため、各従業員が長期休暇を取っても、スケジュールを変更する必要はありません。各従業員には元々11ヵ月分の業務しか配分されないため、休みを取る際に仕事を調整する必要はありませんし、他の従業員に迷惑をかける心配もありません。
また、古くから消費者目線ではなく「働き手目線」のシステムが基本となっているため、スウェーデンの国民は、夏の間に生活が不便になることを理解しています。
市役所や税務署などの行政機関は、夏になると電話がつながりにくくなりますが、… 続きを読む