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一流の営業マンは「腹の探り合い」をしない
2017.01.17

営業のプロが教える、一流と二流の差とは第3回

一流の営業マンは「腹の探り合い」をしない

著者 佐藤 昌弘

 初対面の顧客を相手に、「それとなく探りを入れる」ことからはじめる営業マンが多くいます。ですが、それは正しいアプローチとはいえません。自分では「バレていない」と思っているかもしれませんが、顧客にはそうした行動は簡単にバレてしまい、警戒されてしまうものです。

 では、「探り合い」をせずに顧客のようすをうかがうには、どうすれば良いのでしょうか。

 

「営業は腹の探り合い」という先入観が失敗の元凶

一流の営業マンは客と腹の「探り合い」をしません。それが時間と労力の無駄だと知っているからです。

 売れない営業マンは、下手な「探り」を入れてしまいます。そして「探り」を入れていることを勘付かれ、客を警戒させます。初対面の客というのは、ただでさえ警戒心を持っているのに下手な「探り」が原因で、さらに警戒させてしまっているのです。

 そのようなミスを繰り返すのは、「探り」の営業しか知らないからです。

 一般的なイメージとして、営業・セールスという仕事は「客との腹の探り合いをする」というものが定着しています。だから、それしか教えてもらっていない営業マンが多く、街角でも「探り合いセールス」をよく見かけます。

 

下手な「腹のさぐり合い」は客に警戒される

 探り合いのセールスとは、どんなものでしょうか。アパレルショップでよく見かける探り合いセールスの会話を例に見てみましょう。

店員「いらっしゃいませ」
客(ハンガーの服を手に取る)
店員「試着もできますので、お声掛け下さいね」
客「はい」(ぐいぐい来ないといいけど…)
店員「それは、今年の流行色ですね」≪探り≫
客「そうなんだ。へぇ」(ほっといてよ。面倒くさいなぁ)

 店員は、客の表情や身体の向き、目線などに気を配っていれば、客が嫌がっていることに気付くはずです。

 客は心の中で、「目が合っちゃった。話しかけてきた。ゆっくり見られないな」と、警戒心が芽生えています。しかし店員は客の心境に気付かず、ぐいぐいと話してしまうのです。最後には「ちょっとごめんなさい」と退散してしまい、商品が売れません。

 次は住宅展示場の営業と来場者の会話です。

営業「いらっしゃいませ」
来場者「ちょっと見せてもらって良いですか?」
営業「もちろんです。こちらのアンケートにご記入頂けますか?」
来場者「はい」
営業「お子さん、おいくつですか? かわいいですね」
来場者「幼稚園です」
営業「このあたりだと、○○幼稚園ですか?」
来場者「そうです。よく知ってますね」
営業「ええ。ところでほかの展示場は、もう回られました?」≪探り≫
来場者「えぇ、まぁ」

 これも、典型的な「探り」を入れている会話です。相手の住所や年齢などの情報とあわせて、「ほかの展示場も回っている」という質問で、見込み度合い、検討状況などを探り当てようとしているわけです。一見自然に聞いているようにも見えますが、サジ加減を間違えると、客に嫌がられるだけになってしまいます。

 ふたつの会話の根底にある「探りの心得」といわれるものは、書店に並んでいる「営業」に関するビジネス書によく見かけられます。

 たとえば「初対面の相手に話しかけられれば、誰でも怖いし、警戒するに決まっている」、「会話は、いきなり売り込もうとせず、まず相手が興味を示してくれる話題から入る」、「会話中は、相手の表情、目線、しぐさ、身体の向きなどに注意を払い、警戒をあおらないようにする」、「いきなり断られないように、当たり障りのない話題を選ぶ」、「自然な会話ができたら、本題へと進む」というような心得が書かれています。まるで「相手の心が察知できない鈍感な営業マンは駄目だ」と言わんばかりです。

 しかし「探り」を入れると、客はすぐに感づき、警戒します。警戒されずに「探り」を入れるのは至難の技なのです。だから、「探りを入れる」ことは止めることをおすすめします。

 

「探る」ではなく「合意」が警戒心を取り除く

 それでは「探り」以外で客のニーズを知る方法はあるのでしょうか? 警戒心を与えずに客のニーズの知るには、「合意」を得るように会話を進めましょう。

 前述のアパレルショップの例に「合意」の会話を入れてみます。接客の必要を「合意」の会話で引き出すことにより、客が逃げることも防げます。… 続きを読む… 続きを読む

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佐藤 昌弘

佐藤 昌弘

株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役

個人事業者から上場企業までマーケティングとセールス分野のコンサルティングを提供する。著書は「凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク」等で累計50万部を超え、講演や研修も多数こなす。

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