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「AIDMA」はもう古い!顧客の購買を促進する心理術
2016.11.24

心理士が教える、ビジネスをうまく運ぶためのテクニック第5回

「AIDMA」はもう古い!顧客の購買を促進する心理術

著者 村田 芳実

 マーケターの中には、今も「AIDMA理論」を信じている人もいるようです。AIDMA理論とは、購買に関する認知プロセスを説明する理論です。しかし、現在では認知プロセスの研究が進み、AIDMA理論の段階分けが実情に適していないことが分かっています。

 現在のマーケティングでは、新たな3つの心理理論と、4つの心理テクニックが用いられています。今回はその心理理論と心理テクニックを解説します。

 

人間の認知プロセスはパソコンのデータ入力に似ている

 AIDMA理論は、1920年代にアメリカのローランド・ホールが提唱しました。その理論はマーケティングの基本として取り扱われてきましたが、人間の認知プロセスが徐々に明らかになってきた結果、AIDMA理論が実情に適していないことが明らかになりました。

 AIDMA理論では、認知プロセスを「注意」(Attenntion)、「興味」(Interest)、「欲求」(Desire)、「記憶」(Memory)、「行動」(Action)という5段階に分けています。商品を売るために、「注意」を喚起し、「興味」を持たせ、「欲求」を起こさせ、それを「記憶」させ、購買という「行動」に移させるために、各段階の顧客心理へ訴求を行うという理論です。

 しかし現在では、実際の認知プロセスは、「刺激⇒感覚記憶⇒短期記憶⇔長期記憶」となることがわかっています。

 この認知プロセスは、ある出来事をパソコンに入力することに似ています。人間が見聞きした「刺激」が感覚になり、見聞きした感覚をパソコンに打ち込んでデータとして一時保存「短期記憶」します。そして、上書き保存や新規保存をしてハードディスクに長期保存「長期記憶」します。必要に応じてハードディスク(長期記憶)からデータが引き出されます。

 このように実際の認知プロセスは、AIDMA理論のものと違っています。新しいマーケティング理論を取り入れるには、認知プロセスを新しいベースにしておきます。

 

顧客を動かす3つの条件「希少」「多数派」「商品の価値の理解」

 認知プロセスが、新しいものに置き換わったことにより、顧客心理に関係する3つの心理理論がマーケティングでは重視されるようになりました。

 1つ目は「心理的リアクタンス」です。心理的リアクタンスとは、人が自分の行動や選択を自分で決めたいという欲求により、他人の提案や行動に無意識で抵抗してしまうことです。

 日本ではかつて、米やトイレットペーパーが品薄になり、多くの人が買いだめに走ることがありました。このように、商品が希少になると購入意欲が促進することは、希少という外部から意思決定を脅かされた時に心理的リアクタンスが働いているからです。

 この場合、顧客同士が購入で競争状態にあることで、効果はさらに促進されます。バーゲンの時の商品の取り合いがその例です。

 2つ目は「ヒューリスティック」です。ヒューリスティックとは、… 続きを読む… 続きを読む

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村田 芳実

村田 芳実

認定心理士

合同会社メンタルナビ代表社員。一部上場企業の広報・マーケティングの責任者を担い、日本を代表する企業を始めとして経営者の取材は150回以上。心理学を駆使して、CSやイメージアップ、顧客の囲い込み、シェアアップなど様々な企業課題を解決してきた。現在、心理学に関する書籍やWeb記事を執筆している。

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