明治安田生命が今年の新入社員に実施した「理想の上司」アンケート(PDF)で、元プロテニスプレイヤーの松岡修造が初の1位に輝きました。
その熱いキャラクターは多くの人々に愛されていますが、「あんなうるさい上司がいたら仕事にならない」と、冷めたコメントを言う管理職の人もいるかもしれません。しかし、松岡修造が発する言葉の中には「なるほど」と感服する部分が多くあるのも事実です。
今回は、松岡修造の名言が記された数々の作品の中から、「部下の心のつかみ方」のヒントになるものをピックアップしました。
「諦めるな!」の真意を伝える
「諦めるな!」「もっと努力しろ!」仕事をする上で部下を叱咤激励するのは管理職の役目です。でも、その言葉が習慣的になっているとしたら……。
松岡修造は言います。「100回叩くと壊れる壁があったとする。でもみんな何回叩けば壊れるかわからないから、90回まで来ていても途中であきらめてしまう」
世界のトッププロを目指す選手を育成する強化キャンプ「修造チャレンジ」は、テレビなどでも紹介されて有名です。彼は日本テニス協会と連携して、全国の実力ある小中学生たちを集め、定期的に指導しています。
彼が指導者として注目されているのは彼が有名人だからではありません。それも一理あるかもしれませんが、大きな理由は、彼の独特な指導方法にあります。
彼も「諦めるな!」と熱く激を飛ばしますが、それだけではありません。なぜ諦めてはいけないのかを小学生相手でもきちんと説明します。それが先ほど紹介した言葉です。単純な言葉ほど、納得できる理由が必要なのです。
スポーツも仕事も、はじめから不可能なことを指導する人はいないはずです。それでも諦めてしまう人が出てくるのは、諦めてはいけない理由が見えなくなっているからです。実際、その理由が見えた時生徒たちは見違えるように熱心にラケットを振り出します。
職場で上司が「何事も諦めずに努力しなさい」と言ったとしても、多くの部下たちは聞き流すかもしれません。それは、小さい頃から聞かされた「当たり前」の言葉だからです。なんとなく習慣的に聞いているのです。でも、その理由を的確に伝えられれば、当たり前の言葉が全く違ったものになります。
「もし、100回叩くと壊れる壁があるとしたら、どうする?」 そんなさりげない上司の一言が、部下のやる気を引き出す魔法の言葉に変化するのです。
時間は解決してくれないが、努力はのちに活きる
ミスをして落ち込んでいる部下に、「気にするな。時間が解決してくれるさ」と優しい言葉をかける上司がいます。過ぎてしまったことは気にしても仕方ないという気持ちからでしょうが、かえって甘やかしてしまう場合もあるのです。
松岡修造は言います。… 続きを読む