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導入前に押さえておきたい「HRテック」の効果と難易度
2019.09.26

人事部門もデジタル化できる

導入前に押さえておきたい「HRテック」の効果と難易度

著者 榊 裕葵

 国を挙げての「働き方改革」の取り組みに伴い、効率的な働き方が求められる世の中になり、それを実現するための手段として、ビジネスの現場で「HRテック」の存在感が高まっています。

 本稿では、このHRテックについて全体像を説明していきたいと思います。

 

HRテックとは?

 まずは、HRテックの定義から確認していきましょう。HRテックは、クラウド・AI(人工知能)・ビッグデータなどを活用し、勤怠・給与計算といった日常の労務管理から、採用・人事評価・人事異動などの人事戦略に至るまで、人事労務に関するあらゆる業務の効率化と質の向上に資するテクノロジー全般を指す概念です。

 しかし、2019年現在では、たとえば、「AIが社内に蓄積されたビッグデータに基づき人事考課を人間に代わって行う」、といったような、コンピュータが自律して意思決定や判断を行うまでの高度なHRテックは、まだほとんど実用化されていません。

 現時点において実用化されているHRテックは、主に、人事労務の日常業務の効率化や、見える化による管理の質の向上といった、基礎的なサービスをクラウド上で提供するソフトウェアに集中しています。

 そこで、本稿では、HRテックを広くとらえすぎるのではなく、「クラウド型の人事労務ソフト」と、焦点を絞って再定義をした上で、以降の説明を進めていくことにします。

 

HRテックの良いところ1:手間のかかるルーティーン業務が効率化できる

 HRテックを導入することで得られる具体的な効果は、大きく整理すると3つ挙げられます。

 第1は、勤怠集計・給与計算といった、手間のかかるルーティーン業務の自動化や効率化です。

 たとえば、勤怠集計でいえば、エクセルに打ち込む出勤簿では入力の手間がかかり、残業時間の集計等もきちんと行うことが難しいですが、クラウド型の勤怠管理ソフトを導入すれば、出勤・退勤時に社員証やSuica等を専用端末にかざすだけで自動的に勤怠の打刻と集計を行ってくれます。

 給与計算においては、計算の自動化が進むのはもちろん、給与明細のWEB化で紙の給与明細を印刷したり、配布する手間を削減することも期待できます。

 採用活動においても、書類審査や面接の進捗管理、候補者への連絡などを一元管理するHRテックも注目を集めています。

 

HRテックの良いところ2:人事労務部門に「余力」が生まれる

 第2は、人事労務業務の質的改善に伴う、従業員満足度の向上です。

 自動化や効率化に伴い、人事労務部門の担当者の負荷が軽減され、人事労務部門に属する従業員の満足度の向上が期待されます。

 加えて、人事労務部門に余力が生まれることで、… 続きを読む… 続きを読む

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榊 裕葵

榊 裕葵

特定社会保険労務士、CFP

東京都立大学(現、首都大学東京)法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。会社員時代の経験も生かしながら、経営分析に強い社労士として顧問先の支援や執筆活動に従事している。近年は企業の人事労務部門の生産性向上を支援するため、HRテックの導入支援やHRテックを活用した顧問サービスの提供に力を入れている。

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