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SNSの「炎上」を未然に防ぐ苦情対応は可能か?
2019.09.25

顧客接点の最前線第1回

SNSの「炎上」を未然に防ぐ苦情対応は可能か?

著者 熊澤 伸宏

 連日のようにどこかで火の手が上がるSNS。最近では、企業に対する苦情の発信場所としても気軽に使われるようになってきました。

 企業の顧客対応、特に苦情対応のまずさが、いとも簡単にSNSで公表され、炎上に発展するリスクが増大しています。

 そんな事態を招かないために、顧客接点の最前線であるコールセンターは、どのように考え、対処すべきなのかを考察します。

 

苦情の通報窓口化が進むSNS

 これまで、顧客が企業に対する苦情を訴えるのは、苦情を抱いた顧客の40%に過ぎませんでした(米TARP社等の調査による)。SNSがない時代、コールセンターに電話をかけたり手紙を書くのは面倒ですから。

 しかし、SNSの登場によって、その状況が一変しました。

 残りの60%の顧客が、SNSという24時間いつでも気軽に手間なく訴えられる手段を手に入れたことで、今までなら黙って済んでいた“ちょっとした”苦情をどんどん発信するようになったのです。

 しかも、クチコミなら10~16人程度で済んでいたものが、SNSでは瞬時に世界中に拡散されてしまいます。具体的な被害や問題の解決が必要というわけではなく、気に入らないとか不愉快といった不平不満を、当事者である企業に対してではなく、わざわざ世界中の見知らぬ人たちに喧伝するのです。

 それに同調した人たちが次々と参戦し、ついには「炎上」を招くこととなります。

 まさに、SNSが、企業に対する苦情の「一般大衆向け通報窓口」化しているのです。

 

炎上を呼ばない苦情対応とは?

 今やSNSの炎上は、企業の重大なリスク要因となっています。

 とりわけコールセンターは、顧客との接点が最も多く、炎上の火種となる可能性が高いので、苦情対応には特に神経をとがらせます。失敗すれば、炎上のリスクが一気に高まるからです。

 では、炎上を呼ばないための苦情対応にはどんな方法があるのでしょうか。

 残念ながら、そのようなものはありません。

 顧客応対を「炎上防止」という切り口で分けることなどできないし、「炎上を呼ぶ顧客」という属性でくくることもできないからです。

 この考え方は、日本のコールセンターに昨今大流行の「シニア(高齢者)対応」と同様に、なんでも属性で分類したがる日本企業の悪い癖といえます。「高齢者=コミュニケーションが難しい顧客」と十把一からげにして応対することは、ナンセンス以外の何物でもありません。

 では、どうすればよいのでしょうか。

 炎上したくなければ、… 続きを読む… 続きを読む

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熊澤 伸宏

熊澤 伸宏

コールセンターの教科書プロジェクト https://cc-kyokasho.jp/ 主宰/ひるぎワークス 代表

アメリカン・エキスプレスをはじめとして約30年にわたり計8社15のコールセンターの立ち上げ・再構築・運営に従事。グラクソ・スミスクラインでは国内屈指の高品質なコールセンターとして高い評価を集め、各種の表彰制度で数々の受賞を果たす。コールセンター運営に関する知識、経験、業績のいずれも他に抜きんでた業界の第一人者。著書に『コールセンター・マネジメントの教科書』https://cc-kyokasho.jp/2636031821.html (リックテレコム、2018年)

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