デジタル技術を活用する企業とそうでない企業では、圧倒的な競争優位の差が生じる可能性が出てきました。たとえば「Uber」のようなデジタル技術を活用する競合他社の台頭により、自社のコア事業が短期間でディスラプト(破壊)されるリスクが高まっています。

 競争優位のためには継続的なイノベーションが必要であり、企業は「デジタル変革」を成功させる必要があります。

 デジタル変革とは、デジタル技術を活用して、顧客へ常に革新的な価値提供を行っている状態を創ることであり、その活動を継続的に行うためにバリューチェーン(一連の業務の流れ)全体のオペレーションを最適化することです。

 企業の競争優位にデジタル技術が大きく関わってくる今、CIOがテクノロジーのトレンドを見極め、他の経営陣と共に自社のデジタルビジネス戦略を策定し、デジタル変革を主導する必要があります。CIOの役割は、従来多かった社内システムの運用管理や事業部の支援から、イノベーションに必要な「(1)顧客への革新的な価値提供」と、その活動を支える「(2)オペレーションの最適化」を実現することへと変化しています。

 本稿では、CIOが主導するべき「(1)顧客への革新的な価値提供」と「(2)オペレーションの最適化」のプロセスと、CIOの役割について紹介します。

 

デジタル技術で顧客にどんな“革新的な価値”を提供するのか

 顧客へ革新的な価値提供を行うためには、以下に挙げるような「3つの段階」を経ると効果的です。まずは「デジタル技術を活用した顧客の理解」、次に、「デジタル技術を活用したサービス設計」、最後に、顧客へ価値提供するにあたり、「デジタル技術を活用した仕掛け」を創ることです。(図1)

図1.顧客への革新的な価値提供

 デジタル技術を活用すると、IoT等による従来は得られなかったデータ、AI等による分析データなど社内外のデータが収集でき、今までより「深く」「速く」顧客を理解できます。たとえば、複数のデータに潜んでいる特定のパターンや相関関係などから、顧客の行動、嗜好、癖、潜在的なニーズ等を見出すことがそうです。

 デジタル技術を活用して、顧客が“心から欲するサービス”を設計する事で、驚きや感動などの顧客経験価値(※1)を高めることが可能になります。

 特に、顧客がライフイベントに関連して顧客経験価値を感じた場合、企業に対するロイヤリティが向上し、ライフタイムバリュー(※2)が高まると考えられます。顧客が心から欲するサービスのアイデアは、現場で顧客行動を観察したり、カスタマージャーニーマップ(※3)で顧客体験をトレースしたり、社外のアイデアを活用(※4)する事などでも生まれます。

 顧客が心から欲するサービスのアイデアが顧客経験価値を備えているかを確認し、デジタル技術について自社のどの経営資源を利用するのか、他社との協業は必要かを決定します。

 顧客へ価値を提供するには、デジタル技術を活用した仕掛けを創ることがポイントとなります。以下のような仕掛けは、顧客が経験価値を感じやすい例となります。

(A)シームレスな顧客経験… 続きを読む

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佐野 則子

佐野 則子

野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部 ITマネジメントコンサルティング部 上級システムコンサルタント

専門領域:デジタル戦略、AI等デジタルを活用した業務改革構想・導入支援など

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