職場において「働き方改革」を進めるためには、いくつかの要素が必要になります。たとえば、トップの強いコミットメントや、人事評価や職務規定など制度改定、テレワークやRPAなどICT投資などがそうです。
しかし、それ以上に重要な要素が「上司(管理職)の意識改革」です。いくら働き方改革を進めようとしても、社内に部下の育児参加に理解を示さない経営者や上司がいれば、それだけで働き方改革の導入は遅れてしまいます。
今回は、組織の業績も結果を出しつつ、部下のワークライフバランスを考え、自らも仕事と私生活を楽しむ上司「イクボス」を推進するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の理事を務める川島高之氏が、上司や管理職をキーとした働き方改革の進め方を紹介します。
イクボスで利益も時価総額も社員満足度も上がった!
私が理事をしているNPO法人ファザーリング・ジャパンは、2014年に「イクボス」の定義を世に出しました。すると、瞬く間に全国に広がり、大手企業など約2,000社が“イクボス企業同盟”に加入し、知事や市長など200人を超える行政トップが“イクボス宣言”をしました。現在は企業だけでなく、警察、病院、学校、自衛隊などにも広がりを見せています。
イクボスは、3つの定義とイクボス10カ条から成り立ちます。これは、私が総合商社の管理職時代と、2年半前に退任した上場企業の社長をしていた中で、心がけてきたことをそのまま列挙したものです。
イクボスを実践したおかげで、その会社では、社員の笑顔があふれ、私自身も私生活を満喫できました。そのうえ、3年間で利益は8割増、時価総額は2倍、残業は1/4、社員満足度調査の結果は過去最高を更新という、まさに「三方よし」でした。
前置きが長くなりましたが、以下にイクボスの3つの定義と、10カ条の条件を列挙します。
【イクボスの定義】… 続きを読む