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イオンの礎を作った“伝説的経営者”の人事哲学とは
2019.01.10

“門外不出”の教えを今に問う

イオンの礎を作った“伝説的経営者”の人事哲学とは

著者 編集室「文音」宮澤 裕司

 国内ナンバーワンの巨大小売企業イオン。前身の岡田屋、ジャスコ時代から合併を繰り返し、流通業界の荒波の中で規模を拡大、大型ショッピングセンターを展開するなど小売業の近代化を成し遂げてきた。

 巨大流通グループの創業者として、現イオングループ名誉会長の岡田卓也氏の名はあまた知られるところだが、卓也氏を陰で支える立場で戦略的な人事・組織運営を担当し、繁栄の礎を築いた実姉・小嶋千鶴子氏の存在は、裏方・補佐役に徹してきたこともあり、一般に知れ渡ることはなかった。

 そんな小嶋千鶴子氏の足跡を紹介するとともに、イオン社員だけが目にすることのできるという“門外不出”の手記「あしあと」に綴られた千鶴子氏の経営哲学を、実例に即して解説してくれるのが、「イオンを創った女──評伝 小嶋千鶴子」(東海友和/著、プレジデント社/刊)である。

 

教育方針の見直しは「問題あらへんか」の一声から

 印象的なエピソードが登場するのは、経営哲学について触れた第3章の冒頭だ。

「問題あらへんか」

 千鶴子氏は店舗を巡回したときや従業員と顔を合わせたときに、第一声として、そう声をかけたという。

 仕事で困っていることやお客様からの苦情、商品の品切れ、上司・部下との問題、さらにはプライベートな事柄も含めて、何か問題を抱えていないかを聞き出そうとした。

 この「問題あらへんか?」という問いかけには、その従業員の状況を把握するためだけでなく、本人に“当事者意識”を持たせる狙いがあったと著者は解説する。何か問題はないかと尋ねられ、思いをめぐらしている間、その従業員はさまざまな会社の問題を自分の問題として捉え、どう解決を図っていくかを考えることになる。問いかけはそうした意識を持ってもらうためのきっかけづくりだったのだと。

 もし、従業員が「何も問題はありません」と答えた場合、… 続きを読む… 続きを読む

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編集室「文音」宮澤 裕司

編集室「文音」宮澤 裕司

1960年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社に勤務し、雑誌編集長を経て2013年に独立。現在はフリー編集者、ライターとして企業取材、経営者インタビューを中心に活動。

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