デジタル技術は、急激な発展の結果、誰にでも容易に活用できる「新しいモノやコトを創り出すための道具」になりつつあります。この結果、AirbnbやUberに代表されるようなデジタルビジネスが世界中で続々と生まれ広がり始めています。市場の成熟化とともに、全く新しい製品やサービスが顧客に強く求められている昨今、企業がこのデジタルビジネスに注目するのも無理はありません。

 しかし、日本企業の多くは、既存の製品をカイゼンするためのスキルは高くても、全く新しいモノを創り出すことは残念ながらあまり上手ではありません。高度成長期における日本が先進国に対してフォロワーの位置づけだったため、新しいモノをつくり出すことの優先度が低かったことがその理由です。

 デジタルビジネスを企画するときの方法論のひとつとして、最近「デザイン思考」という考え方が注目されています。本稿では、デザイン思考とは何か、それがなぜ新しいアイディアを生むことができるのかについて解説していきます。

 

課題を発見するところからはじめる

 自分が過去に受けた学校教育を振り返ると一目瞭然なのですが、日本の教育の多くは「与えられた課題を効率的に解決する」ことを目的にしています。高度成長期に対応していくためには有効なスキルだったのですが、残念ながらこのアプローチからは新しいモノを考えることは困難です。

 デザイン思考では、課題解決ではなく「解くべき課題を発見する」ところを出発点としています。ただしこれは決して容易なことではありません。ユーザーに「あなたが求めているサービスは何ですか」と聞いたところでほとんど回答は得られないでしょう。

 これに対しデザイン思考では… 続きを読む

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三谷 慶一郎

三谷 慶一郎

株式会社NTTデータ経営研究所 研究理事 情報戦略事業本部長 兼 デジタルビジネスデザインセンター長

企業や行政機関における情報戦略立案や情報システム企画に関するプロジェクトを実施。近年はデジタルビジネスに関する調査やコンサルティングを推進している。博士(経営学)。武蔵野大学国際総合研究所客員教授、情報社会学会理事。近著に「ITエンジニアのための体感してわかるデザイン思考」(日経BP)など

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