長野県松本市を本拠地にサッカーJ2リーグを戦う松本山雅フットボールクラブ(以下、松本山雅FC)は、地域と密接に結びついたクラブとして、サッカーファンに知られています。ホームゲーム開催時には、北アルプスを間近に望むホームスタジアム「アルウィン(松本平広域公園総合球技場)」のスタンドがチームカラーの緑一色に染まり、ユニフォームスポンサーには、セイコーエプソン株式会社をはじめとする長野県内の有力企業が名を連ねています。

 そのように地域企業やサポーターに支えられている松本山雅FCですが、急成長を遂げてきたクラブもさまざまな課題を抱えています。2018年シーズンはJ2リーグの首位争いを繰り広げていて、J1再昇格へ向けて、クラブへの注目度を高めるチャンスを迎えている中、運営企業の株式会社松本山雅に企業とクラブ運営について伺いました。

 

松本山雅FCは地域の企業やサポーターが熱く支持するクラブ

 松本山雅FCのルーツは、かつて松本駅前にあった山好きのオーナーが経営する喫茶店にあります。1965年「純喫茶山雅」に集まったサッカー愛好家が、チームを結成したのが発端です。喫茶店の常連で結成された草サッカーチーム「山雅クラブ」は、1975年に北信越リーグに加入。2009年にJFLに昇格し、2011年にはJ2に昇格しました。史上最速で2014年J1に昇格を決めたものの、2015シーズン1年でJ2に降格。2018年シーズンは折り返し点を過ぎて首位となっており、J1への再昇格が現実味を帯びてきました。

 地域のサポーターに支えられ、スポンサーとして地域の企業に支えられているプロサッカークラブは、地方クラブには数多く存在します。しかし松本山雅FCは、始まりが駅前の喫茶店で、チーム名がそのまま継承されていること、特定の地元企業チームが起源ではないことなどから、より地域に密着するクラブとなっています。

 松本山雅FCを運営する株式会社松本山雅(以下、松本山雅)の柄澤深氏は、「地域の企業に助けられ、地域のサポーターが熱く応援してくれます。それを一番大切に思い、地域密着を常に肝に銘じています」と話します。

 柄澤氏は、もともと松本商工会議所の出身で、地域の経済振興やイベントに携わっていたところ松本山雅の目に留まり、2016年にヘッドハンティングされました。「さらに地域のために仕事をしたいという思いもあり、この機会にチャレンジするのもいいのではと考えました」(柄澤氏)

 当時、松本山雅FCは地域に根差したクラブとして、Jリーグの中でも注目される存在となっていました。注目が集まればクラブの媒体としての価値が高まり、地域の企業にとっては広告効果への期待ばかりでなく、地域のクラブをサポートすることでの地域への貢献をアピールするチャンスにもなります。地域と企業をつなぐ商工会議所に携わっていた柄澤氏は、クラブにうってつけの人材だったといえるでしょう。

 

松本信金がスポンサーとなり「スイーツフェスタ」で地元の菓子店を活性化

 話は2012年にさかのぼります。トップチームがJリーグ(J2)に昇格し、クラブの注目度が増すと、スポンサー企業や、スポンサーではないが支援の方法を探る企業や人たちにとって、クラブの媒体としての価値が一層高まってきました。そのような中、… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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