2018.08.13 Mon

 プロジェクトが予定通り進まなかった、期限までに不十分なアウトプットしか用意できなかった、といった失敗経験は、多くのビジネスパーソンが持っているはずです。しかし、時には絶対に失敗が許されない重要な案件や局面も存在します。

 そんな絶対に失敗できない局面で役立つとされているのが、先に失敗をリアルにイメージしておく「プレモータム・シンキング」という思考法です。これは元々病院や消防、軍隊などひとつの判断が人の生死に直結する現場で使われてきた思考法ですが、最近ではアメリカを中心に、プレモータム・シンキングがビジネスの現場でも活用されるようになっているそうです。

 なぜ未来の失敗像を先にイメージすることで、現実の失敗を防ぐことができるのか、山崎裕二氏の著作『先にしくじる 絶対に失敗できない仕事で成果を出す最強の仕事術』から、その仕組みを読み解いていきます。

 

始める前に、未来の大失敗を想像する

「お前はもう死んでいる」は、漫画『北斗の拳』の主人公・ケンシロウの有名な決め台詞です。この状態、つまり、今から始めようとしている仕事が“完全に失敗に終わった”という想定から始まるのが、プレモータム・シンキングです。

 そもそも、なぜ失敗は起きるのでしょうか。山崎氏によれば、多くの失敗の原因は人間の持つ「7つのバイアス」に起因するといいます。たとえば、ずるずると課題を先延ばしにしてしまう「現在バイアス」、自分のやり方が正しいと思い込んでしまう「自己中心性バイアス」などがあり、このバイアスの罠にはまって正しい状況判断ができないことが、失敗という結果に繋がっていくのです。

 プレモータム・シンキングでは、初めに大失敗の結末を想定し、そこから逆算していくことで、計画に潜むバイアスの罠を明らかにし、失敗の芽を摘んでいきます。

 

課題をズルズルと先延ばさない方法とは

 プレモータム・シンキングによる失敗回避の方法の具体例を、一番自覚しやすい「現在バイアス」を例に紹介します。「現在バイアス」とは、重要なことを先送りにして、目の前のことを優先してしまうバイアスのことです。

 1か月先に重要なプレゼンがあるとわかっていたにも関わらず、日々の業務に追われて時間が過ぎ、準備不足でプレゼン当日を迎えてしまった経験のある人もいるかもしれません。人間には遠い将来のためにすべきことよりも、今目の前にあることを優先する本能的な傾向があり、夏休み最終日に宿題に追われる小学生も、重要な仕事を後回しするビジネスパーソンも、同じようにこのバイアスの罠にはまっているといえます。

 この失敗を防ぐためには、… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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