日本を訪れたことのある中国人の感想は、2010年代前半までは「清潔」「接客が礼儀正しい」というものが圧倒的に多かった。しかし、中国のGDPが日本を逆転し、“爆買い”が流行語になった2015年ごろは「何でも安い」との声が増えた。
そして2017年に入ると、「日本は不便」という嘆きが聞かれるようになった。
同年春、交換留学生として来日した大学生の李華傑さん(21)は、テクノロジーの国と聞いていた日本が、想像より遅れていると感じたという。
「中国のジャック・マー(アリババ会長)はキャッシュレス社会を本気で目指しているし、もう半分実現してますよ。日本はまだ現金社会なんですねえ」
中国都市部の98%がモバイル決済利用
日本銀行が2017年6月に公表したレポート「モバイル決済の現状と課題」によると、中国都市部の消費者の98.3%が、過去3カ月の間にモバイル決済を「利用した」と答えたという。
中国のモバイル決済は、アリババ系のアリペイ(支付宝)と、テンセント(騰訊)系のWeChat Pay(微信支付)が、シェアの大部分を握る。ユーザーのスマホに表示されたバーコードを、店舗の端末で読み取るか、店舗のQRコードをユーザーが読み取って金額を入力する簡易なシステムで、商店は当然のこと、屋台や行商でもモバイル決済を受け付けている。
訪日中国人の消費を取り込もうとする日本の小売業界にとっても、中国モバイル決済は突破口の一つだ。最近ではローソンやイオンなどの大手小売企業も、アリペイやWeChatPayでの支払いを導入している。
秋田県在住歴1年の孫坤陽さん(24)は、「秋田はアリペイを使える店が少ないけど、時間に余裕があるときは自転車でローソンに行きますよ。アリペイだとApple Watchで使えるようにしているので、財布もいらないですし」と話す。
関西の百貨店の化粧品コーナーで働く販売員女性は、「最近では中国人のお客さまの9割がアリペイを希望する。ただ、対応できる端末が少ないので、混雑時は現金かカード払いに誘導しないといけない」と明かした。
2018年に日本人向けサービス開始か… 続きを読む