海外発!最新ITトレンド情報2018(スウェーデン・ストックホルム)

スウェーデンではもうすぐ現金支払ができなくなる?

2018.04.15 Sun連載バックナンバー

 昨年秋、スウェーデンの大学研究機関が、2023年3月24日をもって現金を扱う店舗が完全になくなるという推測を発表した。つまり現金で買い物ができなくなる日があと5年ほどで訪れるということだ。中央銀行も2030年代には現金が市場からなくなり、完全なキャッシュレス社会が到来すると予測していたが、それよりもかなり早く、小売店などが現金の扱いを取りやめてしまうという調査結果だ。

 現在、スウェーデンの小売店の97%が現金を扱っているが、消費者の現金決済率はたったの18%に過ぎない。多くの決済はデビットカードやクレジットカードで行われ、「スウィッシュ」と呼ばれる銀行直結のモバイルアプリの利用も高まってきている。

 小売店側にしてみると20%弱の消費者のために現金を扱うことの負担が大きく、客離れを覚悟で現金の取り扱いを止めるところが増え、キャッシュレス化の動きが急速に早まっているのだ。消費者側も現金が使えないところが多くなればなるほど、カードやデジタル決済サービスに頼るようになり、現金の流通がますます減る結果になる。

 

10年で現金の市場流通が激減

 スウェーデン中央銀行が2017年春に発表した資料を見ると、こういった国内決済市場の変革が急速に進んでいることが明確だ。1950年代には市場に流通する現金の価値は、国民総生産に対して約10%だったが、現在は2%以下に落ち込んでいる。

 さらに注目すべき点は、紙幣や硬貨の名目値がこの10年間で激減したことだ。最高1,000億クローナだった2008年ごろを境に価値は下がり続け、現在は600億クローナまで減少した。スウェーデン中央銀行は「この状態はかなり特別で、ほかに現金の名目値が下がる国など見たことがない」とした。

 何が引き金になってこの急速なキャッシュレス化が進んでいるのか。まずはスウェーデンのデジタル先進性に注目することが必要だろう。

 

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中妻 美奈子

中妻 美奈子

スウェーデン在住ライター

フリーのレポーター、PRコンサルタントを経て、現在はスウェーデンのIT企業で広報を担当中。北欧の美しい街、ストックホルムで、一般にはあまり興味の対象でない通信情報技術関係のテクニカルな情報をメディアに売り込むことに使命を帯び、喜びを感じる日々を送っている。スウェーデン在住15年。ティーンの息子二人と夫の四人家族で冬の寒さにも暗さにもめげずに生活している。著作「監訳 スウェーデン式アイデアブック」(ダイヤモンド社)。共書「値段から世界が見える」(朝日新書)。

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