キャッシュレス化の動きは、アジア全体に拡散している。たとえば台湾では、量り売りの八百屋でさえも現金は不要、乗り捨て可能なレンタル自転車、無人コンビニなど電子決済が可能になったことで、新たな市場が生まれた。

 世界4位の人口を誇るインドネシアにおいても、ここ数年のうちに急速にキャッシュレスが進んでいる。おおむねスムーズに移行できているようだが、中には混乱が起きているケースもあるようだ。

 

高速道路の料金所から現金レーンが消える

 2017年10月31日、インドネシア国内すべての高速道路において、通行料金の支払いが電子マネーによる電子決済のみに切り替わった。料金所を運営している国営高速道路管理ジャサ・マルガ社は、支払いに使われるスマートカードの会社や政府機関とともに全面電子決済化に向けて、周知活動を行ってきた。

 切り替え当初は、現金レーンがなく戸惑う利用者に対し、臨時的に配置された係員が指導を行っている場面もあったが、現在では完全に無人化している。比較的スムーズな移行を可能にしたのは、高速料金の支払いにも使えるスマートカードが既に普及していた背景があり、電子決済に統一されたことに大きな動揺はなかったとされる。

 

大手財閥が電子決済に参入

 首都ジャカルタから40キロほど離れた郊外に、工業都市チカランがある。外国資本との合弁会社の工場も多く、日本人をはじめ、外国人も多く居住している。慢性的な渋滞や土地の値段の高騰などの理由から、ジャカルタ郊外の開発が進んでおり、チカランもそのひとつだ。

 開発を手掛けるのは、インドネシア大手財閥であるLIPPOグループで、エリア内にあるマンション、学校、病院、バスなどの運営をすべて行っている。LIPPOグループは、他にも銀行、ショッピングモール、映画館、テレビ局などの事業も展開するが、2016年からは電子マネー部門へも参入、インドネシアを代表するフィンテック企業となった。

 LIPPOグループのデジタル事業が開発したのは、… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

さいとうかずみ

さいとうかずみ

海外書き人クラブ所属・インドネシア在住ライター

2007年よりインドに移住し、ライターとしての活動を始める。得意とする分野は、時事、社会、宗教、教育、医療、育児など。2017年よりインドネシアに移り、インドおよびインドネシアについての執筆活動、またリサーチなども請け負う。

関連キーワード

連載記事