高い税金で支えられたスウェーデンの医療システムは、国民すべてがその恩恵にあずかれるように配慮されている。基本的に子供は無料で診療が可能で、薬は大人でも年間2,200クローネ(約2万8,000円)を超えた場合すべて無料になる。

 ただし、診察にかかる時間や手間となると話が別で、病院の急患窓口は常に長蛇の列。何時間も待たされることもある。

 どの医療機関も、基本的には最初に電話で症状を看護婦に話し、医者に合うことが必要とされた場合だけ、予約をしてその時間に病院に行くスタイルが定着している。それでも診察の枠はすぐに埋まってしまい、翌日まで待ったり、数週間後になったり、時間が取れても日中の仕事の最中に会社を早退したりしなくてはいけない。

 誰もが苦い経験をする問題だが、人々の不満を解決するため、画期的なビジネスを始めた会社が現れた。病院に行かずに携帯やタブレットで診察が受けられる「デジタルドクター」である。すべてにおいてデジタル化、オンライン化が進んでいるスウェーデンならではのアイデアといえる。

 

便利さが人気の秘訣

 利用法は至って簡単。携帯やタブレットにアプリをダウンロードするか、パソコンから専用のサイトにログインする。症状をカメラなどを使って入力、その後、ビデオ電話で医者と問診する。料金は約250クローネ(約3,200円)ほど。病院に行くのとほぼ同じ値段だが、子供は前述したように20歳まで無料。早朝6時から深夜まで営業しているところもあり、電話受付時間が一日数時間しかなく、5時には閉まる通常の病院と比べると営業時間の差は画然としている。

 2016年6月のサービス開始当時は123件とごくわずかだったが、2017年11月の月間利用者は24,527人と、わずか1年半で200倍に増加した。この人気に対応するため、政府の定める通常の医療機関も専用アプリを使った携帯での診察に取り組みだしたほどだ。

 

使ってみたら本当に簡単

 友人などから便利だと聞いていたので一度は利用してみたいと思っていたが、先日ちょうどいいチャンスが訪れた。… 続きを読む

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中妻 美奈子

中妻 美奈子

スウェーデン在住ライター

フリーのレポーター、PRコンサルタントを経て、現在はスウェーデンのIT企業で広報を担当中。北欧の美しい街、ストックホルムで、一般にはあまり興味の対象でない通信情報技術関係のテクニカルな情報をメディアに売り込むことに使命を帯び、喜びを感じる日々を送っている。スウェーデン在住15年。ティーンの息子二人と夫の四人家族で冬の寒さにも暗さにもめげずに生活している。著作「監訳 スウェーデン式アイデアブック」(ダイヤモンド社)。共書「値段から世界が見える」(朝日新書)。

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