時間だけが無駄に費やされて、そのくせ成果が少ない「残念な会議」は、日本の多くの企業で見られる光景だ。

 第2回では、そうした「残念な会議」を減らすための6つのチェックポイントを紹介したが、今回は会議をより実りのあるものに変えるために、会議のアウトプットの質を高める方法を紹介する。「残念な会議」を「実りある会議」に変えるためには、働き方改革で働きがいにも意識を向けるように、会議の無駄(会議の効率)を省くだけではなく、会議のやりがい(会議の効果)も高めることが必要である。

 

会議のアウトプットの質を高める「行動の質」と「意欲の状態」とは

 会議のアウトプットの質は、以下の2つの視点で考える。1つは、目指す成果につなげるため、会議後の参加者や組織としての「行動の質」であり、2つ目は参加者の活性度、すなわち「意欲の状態」である。

 1つ目の「行動の質」は、会議の結論が明確か、会議で決まったアクションアイテム(具体的に何をするか、という活動項目)が具体的か、目的に適っているか、ということに注目することである。たとえばアクションアイテムは、行動に移せる状態になっているか気をつける。実際にはアクションを担う人の経験値が影響するため、どこまで具体化して任せるかは、マネジメントや育成にも絡む場合が多い。これも大切なポイントである。会議の主催者や意思決定者は、その点にも注意が必要である。

 加えて、各担当レベルのアクションだけではなく、組織として意思決定し問題へ対処することも求められる。繰り返し生じるような問題現象に対しては、何らかの対策を“仕組み化”できているか、基準やルールなどの整備につなげられているか、標準化できているか、ということも鍵になる。必要に応じてツール化、IT化の判断に繋がる場合もある。そのように組織としての行動の質もみる。

 2つ目の「意欲の状態」は、話し合いを通じて参加者1人ひとりの意欲は高まっているか、参加者同士の関係性が向上し一体感が醸成されているか、に注意することである。会議の参加者の「意欲の状態」がどのようなものかを推し量るためには、造語であるが、「決・意・効・貢」の視点がポイントになる。

 「決」は“自己決定感”の略で、会議の内容が押しつけ、一方的ではなく自己決定できる状態になっているか。「意」は“有意味感”の略で、目的、目標に照らしてみたとき自分が意味を感じられるか。「効」は“自己効力感”の略で、自分の経験等を踏まえ、遂行できると感じるか。「貢」は“貢献感”の略で、検討への参加やその後のアクションが、周囲に役立てていると感じられるか、である。これらの4つの視点は「エンパワーメントの視点」ともいい、会議での発言や会議後の行動の度合いに影響を与える。

 

会議をダメにする「3つのロス」

 このように行動の質、意欲の状態を高める会議を行うためには、当然、結論に至る会議のプロセスの質が問われる。しかし、実際の会議では、異なる立場、利害、関心事を持つメンバーが集まるため、必ずしもすべてがベストな状態で進められるとは限らない。常に何らかの改善余地はあるものである。

 大切なのは、「改善余地があること」に気づけるかどうかである。

 日本能率協会コンサルティングでは会議診断やヒアリングを行っているが、そこでも様々な問題現象が浮かび上がる。会議のアウトプットの質に影響を与えるロスを大別すると、3つに分けられる。このロスを減らすことが、会議のプロセスを高めるための重要なポイントとなる。

 

【1】ゴールが不明な「デザインロス」… 続きを読む

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堀 毅之 /株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)

堀 毅之 /株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)

エンパワーソリューションセンター チーフ・コンサルタント

事業会社でのエンジニア経験を経て2005年にJMAC入社。人材・組織開発を専門領域とする。チーム力向上、組織活性化などのテーマで支援している。1人ひとりが自分らしさを活かしたリーダーシップを発揮することで組織・社会に貢献できる状態になることを探求している。
http://www.jmac.co.jp/column/opinion/020/

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