インターネットの世界には、特殊なソフトを利用しないとアクセスができない「ダークウェブ(闇ウェブ)」と呼ばれる世界があります。ダークウェブでは、麻薬や銃器など、非合法商品を扱うECサイトが数多く存在し、サイバー犯罪の巣窟となっています。

 ダークウェブの概要については第1回目にて説明しましたが、第2回目ではダークウェブ上で発生したいくつかの事件を紹介します。たとえダークウェブを利用したことがなくても、間接的にダークウェブに関わってしまう可能性は、誰にもあるのです。

 

事件簿1:ダークウェブ上で2億件の個人情報が販売される

 まず紹介するのが、「個人情報」に関する話題です。昨今、企業の個人情報の流出がニュースを騒がせていますが、その流出したデータが、ダークウェブに行き着いている可能性があります。

 2016年8月1日から2日にかけて、ダークウェブの闇サイト「The Real Deal Market」(現在このサイトは閉鎖)に、米Yahoo!の会員情報(ユーザー名や生年月日、読めない型式に変換されたパスワード情報)が、なんと「2億件」も売りに出されていました。値段は3ビットコインで、当時のレートで約18万円となります。そのデータは2012年の情報のため、同年に漏洩したものではないかと指摘されています。

 さらに、米Yahoo!は2017年10月になって、2013年8月に起こった情報漏洩事故による流出件数が、実は30億件にのぼっていたことを明らかにしました。そのため、今後さらなる流出情報がダークウェブに出回ることが危惧されています。

 

事件簿2:人気闇市場「AlphaBay」の興亡

 続いて紹介するのが、ダークウェブ上のマーケットで起きた事件です。

 前回も説明したとおり、ダークウェブには、麻薬や偽札、漏洩した個人情報など違法なものが売買される闇市場というマーケットが存在します。ここ数年、闇市場で人気だったのが「AlphaBayMarket」(以下、AlphaBay)です。数年前に注目を集めた「シルクロード」(2011年に開設、2013年10月に管理者が逮捕され閉鎖)に迫るか、それ以上のアクセスを稼いでいたと言われています。

 AlphaBayの強みは、非常に数多くのサービス・商品が出品され、それらを的確に探し出すことができることでした。単語による検索機能はもちろん、ジャンル分けとサブカテゴリも充実しており、曖昧な知識でも目当ての商品を探し出せるような優れたユーザービリティを持っていました。また、出品者の評価システムもあり、購入者は事前に出品者が信用できるか・できないかを判断して購入できました。2014年9月にスタートしたこのサイトは、2016年ぐらいからダークウェブユーザーにとって「闇市場=AlphaBay」といったイメージになるほど成長します。

 そんなAlphaBayに突然の終了がやってきます。今年の7月4日、AlphaBayはアクセスができなくなり、翌日、管理者であるタイ在住のカナダ人、アレキサンダー・カーゼスが、タイ警察に逮捕されました。管理者の逮捕はすぐに発表されなかったため、ダークウェブ内では、AlphaBayのサービスダウンに対して、運営者がビットコインを持ち逃げしたのではないか、などの憶測が流れました。

 この事件にはさらなる“闇”があります。… 続きを読む

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岡本顕一郎

岡本顕一郎

サイバーセキュリティ企業スプラウトのリサーチャー。白夜書房から発行されていたセキュリティ雑誌『ハッカージャパン』の編集を経て、2014年よりスプラウトの立ち上げに参画、ダークウェブを中心に、最新のサイバー犯罪の調査を行っている。

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