『動機づけのマネジメント ―最高のマネジャーがやるべきたった1つのこと』(横田雅俊/著、プレジデント社/刊)というビジネス書が人気となっています。この本は、「結果を出すなら、動機はどうでもいい」ではなく、「結果を出すために、上司が部下の動機に深くかかわっていく」というマネジメント手法を解説したものです。
本書によれば、最近の部下の世代は、従来の「結果を出すなら動機はどうでもいい」という動機では動かず、かえって「やらされ感」を感じ、ますます動かなくなってしまうといいます。
「やらされ感」を生まないマネジメントとはどのようなものでしょうか? 本書から読み解きます。
「ヒアリングシート」でダメな組織かどうかがわかる
社内教育の仕組みやサポート体制も整えているのに、なぜか営業成績が上がらないと悩む企業もあるでしょう。その裏には、部下の「やらされ感」があるかもしれません。
本書では、ビジネスシーンで「やさられ感」を生む一例として、顧客のニーズを把握するための「ヒアリングシート」を挙げています。ヒアリングシートは、顧客に聞いておくことをまとめておくための資料で、その情報を社内で共有することで、顧客に対する戦略的なアプローチが可能となります。
ですが、ただ単にシートの空欄を埋めるだけでは意味がありません。上司が「ヒアリングシートを使って新規開拓してこい」と指示しているだけでは、部下が「ヒアリングシートを埋めるだけでいいや」とだけ思うようになってしまう恐れがあります。
もちろんヒアリングシートは、ただ欄を埋めるだけで良いわけではありません。ビジネスに繋がる重要な情報を書き留め、次に繋げる必要があります。本来は、ヒアリングシートに書いていないこともどんどん顧客に質問すべきものです。ですが、“やらされている”と感じる部下は、言われたことだけしかやりません。
部下がやらされ感を持たないために、上司がすべきことは、部下の「やる気」を促すことです。そうすることで部下は動き出し、より高い成果を出そうとします。
「今月は○万円足りない。なんとしても契約を取ってこい」ではダメ
しかし、どうすれば部下の「やる気」は引き出せるのでしょうか。本書ではそのために必要なこととして、… 続きを読む