オランダは、日本の約1.5倍という高い労働生産性を誇る国として知られています。OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性を比較すると、日本は20位前後と、下から数えた方が早い順位なのに対し、オランダは1980年以降常に一桁台にランクインしています(公益財団法人日本生産性本部PDF参照)。
オランダが高い労働生産性を実現している理由の一つは、上司が「ボス」ではなく「調整役」に徹するという、日本とは大きく異なるマネジメントスタイルにあります。オランダ式のマネジメントとは、一体どのようなものなのでしょうか。
上司が部下より豊富な知識や経験を持つ必要はない
日常会話の中で、「上司」や「組織の長」のことを「ボス」と呼ぶことがあります。実は「ボス」という言葉の語源はオランダ語の「Baas」だとする説があります。「Baas」とは、英語の「Master」、日本語の「親方」という意味に近く、子弟に対し技術や生活態度なども含めたすべてを教え込む存在です。
日本では、上司は部下よりも豊富な知識や経験を持っていることが当たり前のように考えられています。また、上司や先輩が新入社員に対して、仕事だけでなく社会人としての振る舞い方やビジネスマナーなどについても教えることがあります。日本での上司と部下の関係は、「親方(ボス)」と「子弟」の関係に近いといえるでしょう。
一方、現在のオランダでは、上司が部下の「親方」や「先輩」であることは求められていません。つまり、部下の仕事について、上司がより豊富な知識や経験を持っている必要はないのです。むしろ、それぞれの業務については、上司よりも部下の方がエキスパートで当然、という共通理解があります。
オランダでの上司の仕事はゴール設定と成果管理のみ
ではオランダでの上司の仕事は何かというと、チーム全体の目標を決めることと、目標通りの成果が出るようにチームの動きを調整することです。
具体的には、チーム全体の… 続きを読む