企業がいくら長時間労働是正を目指しても、自ら遅くまで仕事をしてしまう「残業好き」な社員がいる限り、長時間労働はなくなりません。ダラダラと残業する働き方が染みついた社員は、組織の生産性も下げています。
残業好き社員を早く帰らせ、組織の生産性を高めるには、ハード・ソフト両面での対策が必要です。ダラダラ残業の存在しない枠組み作りに成功している国や企業はどのような取り組みをしているのか、その事例を見ていきます。
社員が自ら残業をする理由とは
日本は世界的に見ても異常に残業の多い働き方をしている国です。HR総研の調査によると、半数以上の企業で、過労死ラインとされる月間80時間以上の残業をしている社員がいることが判明しています。
この数年、政府は長時間労働の是正を掲げ、企業も残業時間を削減すべくさまざまな施策を行っています。しかし、日本には自ら残業をしてしまう社員が多く、企業が残業を減らすよう働きかけても、なかなか減らないというケースが頻発しています。
なぜ社員が自ら残業をするのか、その理由としてよく挙げられるのが、「残業している=よく働く良い社員であると思われるから」ということです。日本では、毎日定時に帰る社員よりも、残業をしている社員の方が「仕事を頑張っている」「会社への貢献意欲がある」という高い評価を受けがちです。
「周りの人が残業をしているから帰りにくい」「上司より早く帰ることが憚られる雰囲気がある」といった理由も、「残業=良いこと」というイメージが根強く残っていることに原因があります。
その結果として、組織全体が数時間の残業を前提とした時間軸で一日の仕事に取り組むため、ダラダラと生産性の低い働き方になりがちなのです。
日本の生産性は主要7カ国で40年以上も最下位
残念ながら、日本人の時間当たり労働生産性はOECD加盟国35か国のうち20位前後で、主要先進国7か国に限れば最下位という状況が、ここ40年以上続いています(公益財団法人日本生産性本部PDF参照)。残業を前提としたダラダラした働き方が、日本の労働生産性の低さに悪影響を与えていることは明らかです。
一方、労働生産性ランキングで常に上位を占める… 続きを読む