大企業であるほど、新規事業を生み出すのは難しい傾向があります。ある調査では、約7割もの企業で新規事業開発がうまくいっていないという結果も出ています。もしも既存の事業が頭打ちになってしまった場合、10年後、20年後を担う事業を生み出すにはどうすればよいのでしょうか。
この悩みを解決するために、新規事業を生み出すことができない「そもそも」の理由を考えてみましょう。
「新規事業開発がうまくいっていない」企業が7割
大企業ほど新規事業を生み出すのは難しいということは、1997年にハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授が『イノベーションのジレンマ』で発表し、日本でも広く知られるようになりました。しかし、20年経った現在もこのジレンマを抜け出せた企業は多くありません。
日経BP社による調査「新規事業開発の方向」(2016年)では、「新規事業開発が必要か?」という問いに対し、95.9%が「必要がある」と答えています。しかし、「新規事業開発はうまくいっているか?」という質問には、実に67.7%もの企業が「うまくいくものは少ない・ほとんどない」と答えています。
ではなぜ、頭では「必要だ」と分かっていても、新規事業開発がうまく進められないのでしょうか。ここでは議論を一歩前に進めて、そうしたジレンマを抜け出そうとする企業に起きがちな「それでも新規事業が生み出せない理由」に焦点をあてます。
新規事業を生みだすためのコツは「仕組みづくり」
『イノベーションのジレンマ』著者であるクリステンセン教授は、大企業が新規事業を生み出せない理由として、既存事業より小さい事業に魅力を感じにくいことや、新規事業が既存事業を破壊する懸念があがりやすいことなどを挙げました。
つまり、大企業が新規事業を生み出すためには、こうした既存の組織力学が働かない枠組みを用意する必要があります。一般的には、新規事業部門を経営企画の直轄組織にしたり、子会社にして会社自体を分けたりする企業が多いようです。
しかし、こうした手当てをしても実態は変わらない場合があります。… 続きを読む