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上司も部下も慕う完璧中間管理職・蒲生氏郷の苦労
2018.12.20

日本を支えた“中間管理職”の苦悩第33回

上司も部下も慕う完璧中間管理職・蒲生氏郷の苦労

著者 かみゆ歴史編集部

 忘年会に新年会と、年末年始はビジネスシーンにおいても飲みの席が増えがちである。楽しみにしているビジネスリーダーも多いだろうが、一方で、浮かない気持ちでいる人も多いかもしれない。

 ビールメーカー・ヤッホーブルーイング調査によると、飲み会で「(後輩の立場から)先輩と対等に話せると楽しい」と回答したのは71%であるのに対し、「(先輩の立場から)自分は後輩の話を引き出すのがうまいと思う」という回答は45%にとどまった。

 つまり、多くの部下は上司との対等な会話を楽しんでいるものの、その一方で半数以上の上司は、部下との話を楽しめていない。言い換えれば、部下の話を聞く上司は貴重であるが、上司の話を引き出す部下の存在はもっと貴重である、ともいえる。

 実は日本の歴史の中で、部下と上司の双方の話を聞き、成功した中間管理職が存在する。戦国大名の蒲生氏郷(がもう うじさと)だ。氏郷は茶の湯の大成者・千利休の高弟「利休七哲」の筆頭で、利休から「文武二道の総大将」と称賛された。名将かつ教養人でありながら、謙虚な態度で主君の織田信長と豊臣秀吉に信頼され、かつ領民たちにも愛された。

 なぜ蒲生氏郷は、部下にも上司にも慕われる、パーフェクトな中間管理職になりえたのだろうか?

 

名家の子供、信長から英才教育を受ける

 氏郷が生まれた蒲生家は、鎌倉時代頃から近江(現・滋賀県)南部の日野を本拠地とした名家で、現在も滋賀県には「蒲生郡日野町」という地名が残っている。

 しかし、実力者が下剋上でのし上がる戦国時代になると、家柄など大した武器にならない。氏郷の父・蒲生賢秀(かたひで)は、もともと近江一帯を治める六角家に仕えていたが、信長によって六角家が滅ぼされてしまう。それからも信長に対し抵抗を続けたが、信長に仕える義弟・神戸具盛(かんべ とももり)の説得で降伏、信長の軍門にくだることになる。このとき、信長に人質として差し出されたのが13歳の氏郷である。

 人質というと、現代では悲惨なイメージがあるが、当時の人質は客人として丁重に扱われることが多かった。特に、幼少期から聡明だった氏郷はすぐに信長のお気に入りとなり、信長が設置した自由取引市場である「楽市楽座」に同行して、信長から直に経済の大切さをレクチャーされたという。さらに信長の次女(一説では長女)・冬姫を正室に迎えるという破格の厚遇を受けた。

 成長した氏郷は賢秀とともに信長から重用され、近江の浅井家を滅ぼした小谷城の戦いや甲斐(現・山梨県)の武田家滅亡の要因となった長篠・設楽原の戦いなどで武功を上げた。

 こうして堅実に手柄を重ねて出世街道を歩むはずだったが、27歳のときに予期せぬ事態が起きる。… 続きを読む… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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