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不得意分野でも部下に慕われた中間管理職・西郷従道
2018.09.27

日本を支えた“中間管理職”の苦悩第30回

不得意分野でも部下に慕われた中間管理職・西郷従道

著者 かみゆ歴史編集部

 生命保険大手・明治安田生命がその年の新入社員を対象に行っている「理想の上司アンケート」。今年3月に発表された最新版では、男性の総合1位にお笑い芸人の内村光良、女性の総合1位にアナウンサーの水卜麻美が選ばれた。選んだ理由の上位には「親しみやすい」、「頼もしい」があげられており、近年の新入社員は親近感や安心感を得られる上司が好みのようだ。

 このアンケートは総合以外にバラエティ、スポーツ選手・監督、俳優・歌手、文化人の4部門に分けたランキングも発表しており、このうちの俳優・歌手部門7位に、俳優の鈴木亮平がランクインしている。昨年の圏外から急上昇してのランクインは、現在放送中のNHK大河ドラマ「西郷どん」の主人公・西郷隆盛を演じている効果が大きいだろう。選んだ理由には「頼もしい」が多く集まっており、明治維新でリーダーシップを取った隆盛のイメージが重なって感じられる。

 この隆盛に負けず劣らず、明治時代の「新入社員」から支持されたのが、弟・西郷従道(つぐみち/じゅうどう)だ。ドラマではアイドルにして俳優の錦戸亮が演じているが、20年以上も明治政府の閣僚を務め、7つの内閣で海軍大臣に就任した人望厚い政治家である。

 しかし実は、従道自身が提案した政策は多くない。従道は部下のモチベーションを上げ、責任は自分が取るという姿勢で部下の「理想の上司」となり、円滑な組織運営を可能にした人材活用の名手だったのだ。

 

兄とともに明治新政府に貢献

 隆盛と従道は、16歳差という歳の離れた兄弟である。二人の父で薩摩藩(現・鹿児島県)の下級武士・西郷吉兵衛には4人の男子がおり、隆盛は長男、従道は三男だった。吉兵衛は従道が10歳のときに急死したため、従道にとっての隆盛は兄であると同時に、父のような存在でもあったといえる。

 とはいえ隆盛は江戸への出張や藩の意向に逆らった罪による流刑などで不在がちだったので、若い頃の従道は反発心を抱くこともあったようだ。隆盛が危険視した「外国勢力と戦って日本を守るため、弱腰外交をする江戸幕府は倒すべき」と主張する過激派薩摩藩士に心酔し、薩摩藩内部粛清事件・寺田屋事件に同席して死にかけたこともある。

 しかし、隆盛がかつて敵対した長州藩(現・山口県)との同盟・薩長同盟を成立させるなど、誰も成し得なかった偉業を遂げるようになると、従道は次第に兄に歩み寄るようになる。倒幕をかけた戊辰戦争では明治新政府軍の指揮官となった隆盛を補佐し、東北まで赴いて戦い続けた。

 戊辰戦争で新政府軍が勝利し、日本が民主主義国家に生まれ変わると、従道は新政府の指示でヨーロッパの軍事情勢視察に向かい、主にフランスの軍制を学んだ。現在の日本の警察制度は、従道が帰国後に報告したフランスのポリス制度が原点になっている。

 

兄の言葉に従って政府に残る

 こうして従道は隆盛とともに明治政府の要職を歴任する――と思われたが、… 続きを読む… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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